多くの人が活用しているウーバーイーツ。便利さの反面、昨今では「配達遅延が増えた」との声も多い。現場の配達員は、何を感じているのかーー。
勤続年数4年9ヶ月、満足度100%評価を誇る現役配達員の佐藤大輝氏が解説する。
ウーバーの配車がいよいよヤバくなってきた。私はウーバー配達員として4年9カ月間ほど働いているが、ここ最近は繁忙期での「需要強・供給弱」のミスマッチが目立っている。
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■ウーバーの配車が壊れた原因
配達側が注文をさばき切れないため、配達遅延という形でユーザー側にシワ寄せがいっている。実業家でホリエモンこと堀江貴文氏はX(旧Twitter)の投稿で、「最近、Uber Eatsの配達遅延が多い気がする」と発言。共感の声を生んだ。
なぜウーバーの供給力は弱くなってしまったのか。それは「配達員のウーバー離れ」にあると私は考えている。
飲食店の前でたむろする「地蔵」と呼ばれる配達員を覚えているだろうか。あの迷惑な光景は、配達員同士で注文依頼を奪い合っていたことを意味する。しかし今はどうだろう。四角いバッグを背負った配達員を見つけるほうが難しいのではないか。
なぜ配達員の数が減少してしまったのか。それはウーバー配達員という仕事が「稼げる仕事」から「稼げない仕事」にカラーチェンジしたことが大きい。
■背景には「ウーバー配達の低時給化」がある
新型コロナウイルスが世界中を騒がせていた頃、私のウーバーでの収入は時給換算1500〜2000円前後で推移していた。これがアフターコロナ後、700円前後の低空飛行がデフォルトになった。時間によっては時給換算0円になることも多々ある。
ウーバー配達員は時給制ではなく、こなした仕事量によって収入が決まる。最低時給を下回る報酬体系に魅力は少ない。
このタイミングでウーバーは悪手を打った。配達員が店で商品を受け取り、お客様のところへ配送する「1店1顧客」の配送頻度を減らし、「1店2顧客」「2店2顧客」など、複数同時配送の頻度を増やしていったのだ。
ここで問題なのは、複数配送の料金設定だ。ウーバー配達員は(距離等によって変動するうえで)1件あたり300〜500円前後の報酬が多い。これが2件同時配送の場合、400〜700円前後で「割安におまとめ」される。