与那国島の「軍事要塞化」、島民が生活脅かすほどの深刻な状況を訴える


 山田さんは京都府立高校教諭を退職後、2017年に与那国島に移住。土と野菜づくりをしながら、おきなわ住民自治研究所の会員として島の再生についてSNSなどで発信し、呼応した各地の市民や団体が連携のうえ巡回講演を開催した。以下、11月11日の兵庫県西宮市での講演をもとに報告する。

 南西シフトは中国の海洋進出に対して南西諸島を軍事化しようとするもので、10年の「防衛計画の大綱」に明記。その先陣を切って16年に与那国島の南西部に自衛隊駐屯地が開設され、沿岸監視隊と移動警戒隊、電子戦部隊(24年3月から)を配備。台湾から東方約110キロメートルの距離にある同島は対中国の情報収集最前線に立つ。他の南西諸島では19年以降、奄美大島、宮古島、石垣島にミサイル部隊と警備隊が配備され、与那国島でもミサイル部隊配備が計画中。さらに同島駐屯地東側の湿原に港湾を建設、島北部の空港滑走路を延長する計画も浮上するなど軍事要塞化が進む。

 さらに周辺状況に目を転じると「台湾有事」を想定した自衛隊と米軍との一体化が進む中、22年11月に行なわれた日米共同統合演習(キーン・ソード23)では与那国島に米海兵隊が初めて駐留し機動戦闘車が公道を走行するなど、日常に自衛隊と米軍が入り込んできた。同年10月には町による住民避難計画の説明会、11月には公民館と学校でミサイル攻撃避難訓練がそれぞれ初めて実施された。12月には安保3文書が閣議決定されており、「22年は島、そして日本やアジアにとっても大きなエポックだった。与那国は米軍と自衛隊に囲われてしまった」と説明する。



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