エアプサン航空機火災、乗客の証言から浮かび上がる機内騒然の状況

エアプサン航空の香港行き旅客機で発生した火災事故。28日夜、釜山・金海空港で離陸直前に起きたこの出来事は、多くの乗客に恐怖と混乱をもたらしました。jp24h.comでは、乗客の証言を元に、機内で何が起こっていたのか、その緊迫した状況を詳細にレポートします。

機内後方の荷物棚から出火か? 乗客の証言

複数の乗客の証言によると、火元は機内後方の荷物棚にあった荷物とみられています。後方座席に座っていたある乗客は、「棚から『パチパチ』という音がした後、煙が発生した」と証言。モバイルバッテリーや電子機器の可能性を示唆しました。別の30代夫婦も「煙が出た際、乗務員が棚に入れた物について尋ねてきたが、その直後に煙が充満した」と語っています。

エアプサン航空機火災後の様子エアプサン航空機火災後の様子

案内放送なし、乗客が自ら緊急脱出

火災発生時、機内には案内放送がなかったという証言が複数出ています。煙が充満する中、一部の乗客は自ら非常口のゲートを開け、緊急脱出スライドを使って脱出を開始。混乱を極める機内では、乗客同士が声を荒げ、出口に殺到するなど、騒然とした状況だったようです。40代の乗客は「棚のドアの間から火が出ているのを見たが、乗務員に開けるなと言われた」と証言。乗客の自主的な行動と乗務員の指示の間に齟齬があった可能性も浮上しています。

航空会社の対応に疑問の声も

迅速な対応が求められる緊急事態において、エアプサンの対応に疑問を呈する声も上がっています。香港旅行を予定していた妊婦の乗客は、「乗務員が消火器で消火を試みる一方で、乗客には席に座るように指示していた」と指摘。セウォル号事故や済州航空の事故を例に挙げ、「緊急時の対応マニュアルに問題があるのではないか」と訴えました。

176人全員脱出も、負傷者も

火災発生から約1時間16分後、鎮火が確認されました。乗客170人と乗務員6人の計176人は緊急脱出スライドで脱出しましたが、この過程で3人が打撲などの軽傷を負いました。

12年間無事故記録が途絶える

事故機は2007年製造のエアバス機で、機齢は17年。2017年5月までアシアナ航空が運用していました。エアプサンは12年間無事故を誇り、10万便以上の運航実績を持つ国内航空会社の中で唯一、10年以上無事故記録を維持していましたが、今回の事故でその記録が途絶えることとなりました。国土交通部は事故原因の究明を進めています。

今後の安全対策に期待

今回の事故は、航空会社の安全対策の重要性を改めて浮き彫りにしました。乗客の安全を守るため、より迅速かつ的確な対応、そして徹底した安全管理体制の構築が求められます。jp24h.comでは、引き続きこの事故に関する最新情報をお届けしていきます。