トランプ米大統領が新政権の厚生長官に指名した弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア氏(71)の承認に向けた議会公聴会が29日、連邦上院で始まった。ケネディ氏は「報道されているような反ワクチンでも反(製薬)業界でもない。安全賛成派だ」と主張したが、過去の非科学的な言動をめぐって民主党議員から厳しい追及を受け、言葉に詰まる場面もみられた。
ワイデン上院議員(民主党)は「安全で効果的なワクチンはない」などとするケネディ氏の過去の発言を取り上げ、「彼は親たちに疑念を植え付け、子どもの命を救うワクチン接種を思いとどまらせることをライフワークにしてきた」と批判した。
これに対し、ケネディ氏は文脈を無視した切り取りだと反論し、あらゆる薬には副作用があると主張したかったと弁明。自身の子ども全員が予防接種を受けてきたと説明し、「医療においてワクチンは重要な役割を担っていると信じている」とも述べて懸念の払拭(ふっしょく)に努めた。
環境分野で著名な弁護士だったケネディ氏は、2000年ごろからワクチンをめぐる誤情報や陰謀論の発信を繰り返してきた。新型コロナウイルスの流行時には、ケネディ氏が設立した反ワクチンの非営利団体が、ネット上で拡散する誤情報の主要な発信源の一つだったと米インディアナ大などの研究チームは分析している。【ニューヨーク八田浩輔】