「収入が増えても幸せにはならない」は誤りだった 格差是正に取り組まなければならない納得理由


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 報道の内容は報道の頻度で決まると、経済学者のマックス・ローザーが指摘している。

 週刊誌の視点は日刊紙の視点とは違い、日刊紙の視点はソーシャルメディアの視点とは違う。

 では、もし50年に1回という頻度で発行される新聞があったとしたら、どうなるだろうか。そのような新聞では、きっともっと世の中の好ましい長期的な傾向が取り上げられやすくなるだろうと、ローザーは述べている。

 わたしたちの祖先にとっては贅沢(ぜいたく)だったものが、科学技術のおかげで、現在ではほとんどコストを気にせず使えるぐらい安価になっている。長いスパンで見れば、経済的な発展に伴ってそういうことがほかにも数多く起こっている。

 当時、最高の権力者だったアン女王は、1684年から1700年までのあいだに17回妊娠した。そのうちの16回が死産か、流産か、あるいは子どもの早世に終わった。

 300年後の現在、最も貧しい親でも子どもに死なれることは稀だ。衛生と医療の進歩は無数の命を救っている。また今では、実質賃金で見ると、ほとんどの国の労働者が1日で、1900年の労働者の1週間ぶんの賃金を得てもいる。



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