【ひふみんEYE】藤井聡太名人、響いた最終盤のミス 永瀬九段は「2つの疑問手」も粘り称賛に値


 将棋の藤井聡太名人(竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖=22)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦する第83期名人戦7番勝負第4局が17、18の両日、大分県宇佐市「宇佐神宮」で行われた。千日手による6年ぶりの指し直しの末、永瀬が勝利し、シリーズ対戦成績を1勝3敗とした。名人戦3連覇を目指す藤井は足踏みした。第5局は29、30日に茨城県古河市「ホテル山水」で行われる。

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 本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(85)が対局を振り返ります。

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 上手の手から水がこぼれました。優勢を築いたはずの藤井名人でしたが、終盤で永瀬九段が打ち込んできた飛車への対応で間違えました。時間に追われて攻め合いに出ましたが、かえって危ない手順となって逆転を許しました。

 千日手局は角換わり後手3三金型と珍しい形を採用して、藤井名人にとっては不本意ですけど、やむなしだったのでしょう。初日で時間をかなり使っていましたから。

 永瀬九段はよく粘りました。指し直し局では2つの疑問手がありました。1つは2筋の継ぎ歩。こんなところで指している場合じゃないです。意味がないし、歩の無駄遣い。2筋の歩を交換したら、すぐに攻撃目標を9筋に切り替えるべきでした。せっかく9筋を攻めても、その後に7筋に歩を打ったのが疑問手その2。9筋に歩を打ち捨てて攻撃の糸口をつかむべきでした。それでもあきらめない姿勢は称賛に値します。

 名人戦初登場の永瀬九段が一矢を報いましたが、シリーズとしてはまだまだ藤井名人有利。第5局でどう立て直してくるか、注目しましょう。(加藤一二三・九段)



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