静岡県の静かな田園地帯に、築96年の古民家が息を吹き返しました。かつて廃屋だったその建物は、今や旅人をもてなす素敵なゲストハウスへと変貌を遂げ、Airbnbで1泊2万5000円から宿泊することができます。この記事では、世界を旅した梶山大輔氏と、今は亡き妻ヒラさんが、どのようにこの古民家を再生し、ゲストハウスをオープンさせたのか、その感動的な物語をご紹介します。
世界を旅した夫婦の新たな挑戦:古民家再生への想い
梶山大輔氏は7年間、世界中を旅しました。ポルトガル、タイ、カナダなど様々な国でバックパッカーや労働者として暮らし、多様な文化に触れてきました。そして、故郷である静岡県に戻り、イスラエル出身の妻ヒラさんと共に新たな人生をスタートさせることを決意します。
「長い間日本を離れていたので、自分の国だという感覚さえしなかった」と梶山氏は当時を振り返ります。二人は、日本の伝統的な家屋をゲストハウスに改築するという夢を抱き、理想の物件を探し始めました。
alt 静岡の田園風景に佇む築96年の古民家ゲストハウス。
理想の古民家との出会い、そして再生への道のり
しかし、希望に合う物件を見つけるのは容易ではありませんでした。多くの古民家は代々受け継がれる家宝であり、他人への売却は難しいのが現状です。梶山氏も当初は苦労しましたが、地元の老婦人の助けを借り、ついに運命の物件と出会います。それは、かつてお茶の製造所と農家として使われていた築96年の廃屋でした。
所有者は老朽化が進んだ建物の状態を懸念し、梶山氏の申し出に難色を示しました。しかし、梶山氏は諦めませんでした。何度も足を運び、所有者と交渉を重ねた結果、ついに建物の使用許可を得ることができたのです。
契約条件は「家の世話をすること」。地域文化に根付いた信頼関係
梶山氏は製造所だった建物を自宅に、隣接する農家をゲストハウスに改築することにしました。驚くべきことに、彼は家賃を支払う必要はありませんでした。契約条件は、建物の修復費用も含め、すべての責任を梶山氏が負うこと。これは、この地域の文化に根付いた考え方であり、お金よりも家の維持を重視する所有者の想いが込められていました。
「ビジネスやお金が求められているのではない。家の世話をする人がいるだけで、家族にとってはありがたい話なのだ」と梶山氏は語ります。所有者との信頼関係を築き、互いに支え合いながら古民家の再生を進めていきました。
ゲストハウス誕生!新たなコミュニティの創造
2年間の歳月をかけ、梶山氏とヒラさんは廃屋だった建物を風情あるゲストハウスへと生まれ変わらせました。古き良き日本の伝統と現代的な快適さを融合させた空間は、訪れる人々に特別な時間を提供しています。 ゲストハウスはAirbnbを通じて予約可能で、多くの旅行者が日本の田舎での静かな滞在を楽しんでいます。
古民家再生が繋ぐ未来:持続可能な観光への貢献
梶山氏とヒラさんの物語は、単なる古民家再生の成功事例ではありません。地域社会との共存、持続可能な観光への貢献、そして日本の伝統文化の継承という、大きな意義を持つ取り組みです。彼らの情熱と努力は、地域に新たな活気をもたらし、訪れる人々に忘れられない体験を提供しています。
このゲストハウスは、日本の古き良き文化に触れたい旅行者にとって、まさに理想的な場所と言えるでしょう。そして、梶山氏とヒラさんの挑戦は、古民家再生という形で地域活性化に貢献する、一つのモデルケースとなるはずです。