アメリカの闇:フェンタニル中毒の恐怖、蔓延する「ゾンビタウン」の現実

アメリカで蔓延するフェンタニル中毒の深刻な現状について、元厚生労働省麻薬取締部部長の瀬戸晴海氏の視点を通して解説します。まるでゾンビ映画のような光景が現実のものとなっている「ゾンビタウン」の実態とは?

フェンタニル中毒:路上で命を落とす「新しいゾンビ」たち

かつて合成マリファナが流行した際も、中毒者は「ゾンビ」と呼ばれ、汚染地域は「ゾンビタウン」と揶揄されました。しかし、当時のゾンビは路上で簡単に命を落とすことはありませんでした。ところが、近年のアメリカでは、フェンタニルに蝕まれた「新しいゾンビ」たちが次々と路上で息絶えているという恐ろしい現実があります。

alt="フェンタニル中毒者の様子"alt="フェンタニル中毒者の様子"

驚愕の死者数:若年層の死因トップに

CDC(米国疾病管理予防センター)の発表によると、2019年11月から2023年10月までの間に、フェンタニルを含むオピオイドの過剰摂取で約27万人が死亡しています。特に、2021年8月から2022年8月までの1年間では、犠牲者は10万7735人にものぼり、50歳以下のアメリカ人男性の死因のトップとなっています。

セレブリティも犠牲に:フェンタニルの魔の手

グラミー賞受賞歌手のプリンスや、ロックバンド「トム・ペティー&ザ・ハートブレイカーズ」のトム・ペティ、ラッパーのマック・ミラー、俳優のフィリップ・シーモア・ホフマンなど、多くの著名人もフェンタニルやヘロインといったオピオイドの犠牲となっています。若者から著名人まで、誰もがフェンタニルの魔の手から逃れられない現状が浮き彫りになっています。

フェンタニルの危険性:少量で死に至る恐怖

フェンタニルは、ヘロインの50倍、モルヒネの100倍という強力な鎮痛作用を持つ合成オピオイドです。わずか2ミリグラムという少量で死に至る可能性があり、その危険性は計り知れません。

社会問題としてのフェンタニル中毒:対策の必要性

フェンタニル中毒は、もはや個人の問題ではなく、深刻な社会問題となっています。中毒者の増加は、医療システムへの負担を増大させるだけでなく、治安の悪化にもつながります。効果的な対策が急務となっています。

まとめ:蔓延するフェンタニル禍、私たちにできること

フェンタニル中毒の現状は、まさにアメリカの闇と言えるでしょう。この問題を解決するためには、政府、医療機関、そして私たち一人ひとりの意識改革が必要です。啓発活動の推進、中毒者への支援、そして違法薬物に対する厳しい取り締まりなど、多角的なアプローチが求められています。