韓国が「美容整形大国」となった理由とは?驚きの普及率と歴史的背景

韓国を美容整形目的で訪れる外国人観光客が増加しており、2019年には医療観光目的の外国人が50万人近くに達し、その数は着実に増加しています。世界的に注目される韓国の美容整形ビジネスは、なぜここまで発展したのでしょうか。その背景には、国民一人あたりの美容外科医の数の多さ、社会的な受け入れ度の高さ、そして政策的な後押しがあります。本記事では、韓国が美容大国と呼ばれるに至った要因をデータに基づき解説し、さらに日本の医療との意外な歴史的繋がりにも触れます。

国民一人あたりの美容外科医数と医療政策の後押し

ソウルの「整形ベルト」と呼ばれる地区で行われる形成外科手術の膨大な件数は特筆に値します。国際美容外科学会(ISAPS)のデータに基づくと、韓国は人口あたりの美容整形手術件数が世界一です。さらに、2018年のISAPSの調査によれば、国民一人あたりの美容外科医数でも韓国は世界一を誇ります。その数はアメリカの約2倍、2位のブラジルをはるかに引き離し、同国の約1.5倍に達します。

21世紀初頭から、整形手術は韓国にとって非常に収益性が高く、競争力の高いビジネスとなりました。この時期、医療保険制度や規制環境が変化し、医師にとって最も収益を上げられる仕事は「外科の専門化、診断検査、薬剤処方」に焦点を当てることでした。国は一時的に優遇税制措置を講じ、その減税分を美容整形に充てて身体を修正することが「良き市民」の行動であるかのような論理さえ支援しました。

2010年までに、政府による韓流や医療観光の支援が後押しとなり、美容整形手術は日常的な議論やオンラインフォーラムで当たり前のものとされ、一般大衆に広く受け入れられました。ソウル市内を包帯姿で歩く整形手術後の患者を見るのは珍しくありません。

驚くべき韓国社会の美容整形に対する意識

2020年の韓国ギャラップの調査によると、2000年代初頭以降、韓国人の70パーセントが美容整形をタブー視していないと回答しています。ソウルの美容整形においては、通常隠される体の部分に関してすら、隠すものが一切ないオープンな状況です。

具体的なデータからは、美容整形に対する意識の高さが伺えます。12歳から16歳の娘を持つ韓国の母親の4人に1人が、娘に美容整形を勧めたことがあるという調査結果があります。また、2020年の韓国ギャラップの世論調査では、19歳から39歳の女性の3人に1人が美容整形を受けた経験があると回答しました。2019年の別の調査では、韓国人が初めて美容整形を経験した平均年齢は23歳でした。

さらに、労働市場での機会を増やすためであれば美容整形を受けると答えた男性は59パーセントに上り、これは1994年と比較して30パーセントの急上昇です。結婚市場での機会を増やすためであれば美容整形を受けると答えた女性は66パーセントでした。これらのデータは、美容整形が個人の選択や自己満足に留まらず、社会的な成功や機会の獲得とも密接に結びついている現実を示唆しています。

韓国での美容整形手術のイメージ画像。需要の高さを示す。韓国での美容整形手術のイメージ画像。需要の高さを示す。

日本の眼科医が開発した二重まぶた手術の歴史的繋がり

最も人気のある美容整形手術の一つであるまぶたの整形手術は、19世紀後半にその記録を遡ることができます。1896年、当時日本の眼科医であった美甘光太郎は、自身が開発したと主張する手術を行った後、一重まぶたを二重まぶたにする自身の外科技術について、この手術に関して最初に知られている論文を日本の医学誌「中外医事新報」に寄稿しました。

彼は自身の手法を詳細に記述し、手術前後の目の絵も掲載して、自身の独創的な手順の改良点まで紹介しています。美甘医師は、目の上を切開せずにまぶたを縫合することで二重を作る方法を考案しました。これは、彼から1世紀以上後に外科医たちがまぶたの手術に使い始めた、メスを使用しない「新機軸」を予測するものでした。

この時代背景として、日本は数百年間の鎖国を経て、1854年の日米和親条約締結以降、西洋の影響を受け入れるようになりました。西洋化の波は食文化からファッションに至るまで広がり、日清戦争の勝利(1895年終結)を経て近代国家として欧米先進国に認知されるようになった時期と重なります。美甘医師の研究も、こうした時代の流れの中で生まれたと言えるでしょう。

まとめ:政策、文化、そして歴史が織りなす韓国美容大国の実像

韓国が今日の美容整形大国となった背景には、国民一人あたりの美容外科医の圧倒的な多さ、医療保険制度や税制優遇といった政策的な後押し、韓流ブームと連携した医療観光推進、そして何よりも社会全体で美容整形が広く受け入れられているという文化的要因が複合的に影響しています。驚異的な整形率や、就職・結婚といった社会的な動機で手術を選ぶ人の多さは、美容整形が個人のコンプレックス解消だけでなく、社会生活における競争力強化の手段と見なされている現状を映し出しています。さらに、二重まぶた手術における日本の眼科医、美甘光太郎による初期の研究という歴史的な繋がりも存在し、この分野の発展が国際的な知識の蓄積と無関係ではないことを示唆しています。韓国の美容整形産業は、単なる医療ビジネスとしてだけでなく、その国の社会構造、文化、さらには歴史をも反映した複雑な現象と言えるでしょう。

[Source link] (https://news.yahoo.co.jp/articles/d28c161a42b5ccef98889212272b943583eba75d)