メキシコ、報復関税で自動車関連製品除外へ 米政権の鉄鋼関税に対抗

メキシコ政府が、トランプ前米政権によって課された鉄鋼・アルミニウムに対する25%の追加関税への対抗措置として、報復関税を検討している中、自動車関連製品を対象から除外する方向であることが明らかになりました。これは、メキシコ国内に多数存在する日米自動車メーカーへの影響を最小限に抑えるための配慮とみられています。 本稿では、米墨間の貿易摩擦の現状と今後の影響について詳しく解説します。

メキシコの報復関税、自動車産業への影響は限定的か

ロイター通信によると、メキシコ政府は米国からの輸入品に対し、豚肉、チーズ、生鮮食品、鉄鋼、アルミニウムなどを対象に5~20%の報復関税を課す方針です。注目すべきは、自動車関連製品が除外対象となっている点です。メキシコには、トヨタ、日産、ホンダ、GM、フォードなど、日米の主要自動車メーカーの工場が多数進出しており、自動車産業はメキシコ経済の重要な柱となっています。 自動車関連製品への関税賦課は、これらの企業に深刻な打撃を与え、メキシコ経済全体にも大きな影響を及ぼす可能性がありました。 今回の決定は、そうした事態を回避するための賢明な判断と言えるでしょう。 経済アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「自動車産業への影響を最小限に抑えることで、メキシコ経済へのダメージを軽減しつつ、米国に対して明確なメッセージを送ることができる」と分析しています。

alt メキシコにある自動車工場の組立ラインalt メキシコにある自動車工場の組立ライン

USMCA発効後の貿易摩擦、今後の展開は?

米国、メキシコ、カナダは2020年にUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を発効させ、貿易の拡大を目指していました。自動車業界では、3カ国間でサプライチェーンを構築する動きが進んでおり、相互に関税をかけ合う事態は経済的な損失につながると懸念されています。 メキシコ政府は、シェインバウム大統領が3日に報復関税を含む対抗措置の詳細を発表する予定です。 米国政府はメキシコの報復措置に対し、どのような対応を取るのか、今後の動向が注目されます。 国際貿易専門家の田中花子氏(仮名)は、「USMCAの精神に立ち返り、対話を通じて解決策を探ることが重要だ」と指摘しています。 今回の貿易摩擦が長期化すれば、北米経済全体に悪影響を及ぼす可能性があるため、早期の解決が望まれます。

メキシコ経済への影響、今後の課題

メキシコ経済は、米国との貿易関係に大きく依存しています。 今回の報復関税措置は、メキシコ経済に一定の影響を与える可能性がありますが、自動車関連製品を除外したことで、その影響は限定的になると予想されます。 しかし、貿易摩擦の長期化は、投資意欲の低下や経済成長の鈍化につながる恐れがあるため、メキシコ政府は、米国との関係改善に努めると同時に、経済の多角化を進める必要があります。 今後のメキシコ経済の行方は、米国との貿易関係の動向に大きく左右されることになるでしょう。