未成年女性への性的虐待で有罪となった故ジェフリー・エプスティーン元被告の被害者であるヴァージニア・ジュフリー氏の遺族が、トランプ大統領に対し、元被告の共犯者であるギレイン・マックスウェル受刑者への恩赦を検討しないよう強く要請する声明を7月30日に発表しました。今年4月に自殺したジュフリー氏の死を「まだ引きずっている」と語る遺族は、マックスウェル受刑者の恩赦に断固として反対の姿勢を示しています。
恩赦検討への強い反発:ジュフリー氏遺族の声明
ジュフリー氏の遺族であるスカイ・ロバーツ、アマンダ・ロバーツ夫妻、そしてダニー・ウィルソン、ラネット・ウィルソン夫妻は、声明を通じてマックスウェル受刑者が「残りの人生ずっと刑務所にいて、そこで朽ち果てるに値する怪物だ」と表現しました。マックスウェル受刑者は、エプスティーン元被告による少女虐待を手助けした罪などで禁錮20年の刑に服しており、最近、元被告に関する資料の公開を求める声が高まる中で、司法省高官による刑務所訪問など、その動向が再び注目されています。連邦議会下院の監視委員会は先週、マックスウェル受刑者に8月11日の証言を求める召喚状を送付しましたが、弁護団は将来の訴追免除や恩赦があれば証言に応じると表明しています。
トランプ大統領は先週、マックスウェル受刑者への恩赦を検討しているかとの記者団の質問に対し、「考えていない」と回答しました。また、ホワイトハウス高官もBBCに対し、マックスウェル受刑者に関して「いかなる刑の減免も与えられておらず、議論もされていない」と述べています。ジュフリー氏の遺族は、マックスウェル受刑者には過去に宣誓下で嘘をついた前歴があることを指摘し、「自分が有利になる限り、同じことをし続けるだろう」と主張しています。「自分のことしか考えない捕食者であり、良心のとがめなく少女や若い成人女性の人生を破壊した」とし、「ヴァージニアは常に、ギレイン・マックスウェルは凶悪で、しばしばエプスティーンより残酷になることもあったと言っていた」と強く訴えかけました。
ヴァージニア・ジュフリー氏が若き日の自身の写真を手にする、エプスティーン事件被害者の姿
トランプ氏の発言と遺族の疑問
ジュフリー氏の遺族は、トランプ大統領が7月29日に「私のために働いていた人たちを(エプスティーン元被告が)盗んだ」と発言し、その中にジュフリー氏も含まれていたとしたことに衝撃を受けていると説明しました。ジュフリー氏は2016年の法廷宣誓証言で、16歳だった2000年夏に、トランプ氏の私邸兼リゾート施設マール・ア・ラーゴで働き始めたと述べていました。遺族は、「トランプ大統領が私たちの妹について話し、ヴァージニアがマール・ア・ラーゴから『盗まれた』と承知していたと発言したのは、ショックだった」と語り、これによりトランプ氏がジェフリー・エプスティーンとギレイン・マックスウェルの犯罪行為にどこまで気づいていたのか、疑問を抱くようになったと述べています。遺族はまた、ジュフリー氏がトランプ氏のために働いていた期間に、マックスウェル受刑者の「餌食にされた」ことを明確にしたいと強調しました。
エプスティーン事件とマックスウェル受刑者の背景
ジェフリー・エプスティーン元被告は2008年に未成年者への売春勧誘で有罪判決を受け、性犯罪者として登録されました。2019年には未成年者の性的人身売買の罪で起訴され、裁判を待つ間にニューヨークの拘置所内で死亡しました。司法省と連邦捜査局(FBI)は今年7月、元被告は自ら命を絶ったとし、「顧客リスト」は存在しないとする調査結果を発表しています。
一方、ギレイン・マックスウェル受刑者は、1994年から2004年にかけて、当時交際していたエプスティーン元被告による性的虐待を手助けする目的で、10代の少女4人を勧誘し人身売買を行ったなどの罪で、2021年に有罪評決を受け、2022年に禁錮20年の刑が言い渡されました。彼女の裁判は、エプスティーン事件の全容解明と、被害者たちの救済に向けた重要な一歩として注目されています。
参考文献:
- BBC News (英語記事): Virginia Giuffre’s family asks Trump not to pardon Maxwell