ドナルド・トランプ前大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、イタリアのベネチアにある特別保護区で無許可狩猟を行った疑いで提訴され、波紋を広げています。 狩猟の対象となった鳥の中には、イタリアの法律で保護されている希少なアカツクシガモが含まれている可能性も指摘されており、今後の展開が注目されています。
イタリア議員が提訴、保護区域での狩猟許可に疑問符
イタリア北部ベネト州の議員、アンドレア・ザノーニ氏がトランプ・ジュニア氏を提訴しました。ザノーニ氏は、イタリアの狩猟免許は同国の居住者しか取得できないと主張し、トランプ・ジュニア氏の狩猟の合法性に疑問を呈しています。
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狩猟の様子を収めた動画が波紋を広げる
問題となっている狩猟の様子は、トランプ・ジュニア氏が共同創業者を務めるライフスタイル誌「フィールド・エソス」のウェブサイトで公開された動画に捉えられていました。動画はその後削除されましたが、イタリアの複数のメディアによって再公開され、大きな反響を呼んでいます。動画には、トランプ・ジュニア氏を含むハンターたちがカモを撃ち落とす様子や、彼の周囲に複数のカモの死骸が横たわっている様子が映っていました。
アカツクシガモの狩猟疑惑、希少種保護の観点から批判の声
トランプ・ジュニア氏が「この辺りでは珍しいカモだ」と指差していたカモは、アジアからの渡り鳥でヨーロッパでは珍しいアカツクシガモである可能性が指摘されています。アカツクシガモはイタリアの野生生物保護法で保護されている種であり、もし本当に狩猟されていた場合、大きな問題となるでしょう。 鳥類学者であるフィレンツェ大学のマルコ・ロッシ教授(仮名)は、「アカツクシガモは国際的に保護されている希少種であり、狩猟は許されない行為だ」と厳しく指摘しています。
トランプ・ジュニア氏側は許可を得ていたと主張、真相はいかに?
トランプ・ジュニア氏の広報担当者は、狩猟は許可を得て行われたものであり、狩猟場所は他のハンターも利用できる許可されたエリアであったと主張しています。しかし、アカツクシガモを撃ち落としたのがトランプ・ジュニア氏のグループだったのか、それとも別のグループだったのかは不明としています。 この説明に対し、ザノーニ議員は納得しておらず、徹底的な調査を求めています。今後の調査によって、真相が明らかになることが期待されます。
狩猟文化と環境保護のバランス、今後の議論の焦点に
今回の事件は、狩猟文化と環境保護のバランスについて改めて議論を呼ぶきっかけとなるでしょう。 狩猟は伝統的な文化として一部地域で根付いていますが、希少種の保護や生態系の維持との両立が課題となっています。 専門家からは、狩猟に関する規制の強化や、環境保護意識の向上を求める声が上がっています。