韓国は、来たる米韓首脳会談を前に、経済および安全保障分野で米国からの強い圧力と不透明な課題に直面しています。特に、巨額の投資や防衛費分担金など、両国間の認識には大きな隔たりが見られ、これが会談の主要な争点となる見込みです。
不透明な経済合意と「日本型モデル」の背景
米国への巨額投資に関して、韓国が直面している状況は、過去の「日本型モデル」とは異なる様相を呈しています。これは、日本が過去に5500億ドルの投資を行った際、出資がわずか1~2%で、大半が貸付や保証であったのに対し、米国側は韓国の3500億ドル投資の収益90%が米国国民に帰属するという異なる認識を示しているためです。この具体的な調達時期、方法、収益解釈の明文化が求められています。
実際に、関税猶予期限が差し迫る中で急遽妥結された合意では、1500億ドル以外の詳細な投資先や方式は未合意のままとなりました。これは法的拘束力のある協定ではなく、政治的合意という形式が選ばれたため、不透明な要素を多く含んでいます。日本や欧州連合(EU)も同様の状況で米国との交渉を妥結していますが、韓国は首脳会談を目前に控え、より不利な立場に置かれていると言えるでしょう。
関税交渉の現状と追加投資への圧力
韓国は今回の米韓首脳会談の主要目標の一つとして、経済と通商関係の安定化を掲げています。魏室長は、両国がある程度の進展を達成したとし、首脳レベルでの合意強化を目指す意向を示しました。
しかし、関税合意時に米国が約束した関税関連の行政措置は依然として全く施行されていません。この状況で、韓国の投資が首脳間の合意として明文化されれば、韓国側には大きな負担となる恐れがあります。米国は相互関税と自動車・自動車部品の品目関税を25%から15%に引き下げることに同意していましたが、その履行が待たれる状況です。
さらに、米国からの追加投資に関する圧力が激化しています。トランプ大統領は関税交渉妥結直後、3500億ドルの投資と1000億ドル規模の液化天然ガス(LNG)購入に加え、「大規模資金」の投資に韓国が同意したと発表しました。これは当時の韓国側の発表には含まれていない内容であり、トランプ大統領は李大統領がホワイトハウスを訪問する際に総額が発表されるだろうと述べ、さらなる要求を示唆しています。これに対し、韓国側は投資計画や武器購入の可能性に言及し、協議の結果として具体化する構想があると説明しました。
安全保障問題:防衛費分担と原子力協定
同盟の現代化など、安全保障事案もまた意見の相違が見られる議題となる可能性があります。ロイター通信は匿名の米政府関係者の話として、トランプ大統領の核心的な関心事が防衛費分担問題であり、韓国にさらなる負担を要求するだろうと報じました。トランプ大統領はこれまで、在韓米軍駐留費用、すなわち防衛費分担金問題を繰り返し提起しています。
ワシントンで開催された米韓外相会談でも、米国の要望が明確に示されました。米国務省の報道資料では、ルビオ国務長官と趙長官が「集団的防衛負担分担」拡大を議論したと発表しており、国防費増額圧力や対中牽制への参加要求が予想されます。これに対し、韓国外交部の報道資料ではこれらの内容が抜け落ち、「韓米首脳会談の重要性」や「成功的会談要請」が強調され、両国間の温度差が浮き彫りになりました。
今回の会談では、韓米原子力協定改正議論の開始が公式化される可能性も指摘されています。現行の協定(2015年改正)では、韓国は米国の同意を得て20%未満でウランを濃縮できますが、使用済み核燃料の再処理は認められていません。
結論
米韓首脳会談は、経済面では不透明な投資合意の具体化と追加資金への圧力、安全保障面では防衛費分担金の増額要求と原子力協定改正の議論開始など、韓国にとって多くの困難な議題を抱えることになります。両国間の認識の隔たりをいかに埋め、具体的な成果を導き出すかが、会談の成否を分ける鍵となるでしょう。日本型モデルとの比較から見ても、韓国はより厳しい交渉環境に直面していると言えます。