【ワシントン=田中宏幸、ニューヨーク=山本貴徳】米国のトランプ政権は4日午前0時1分(日本時間午後2時1分)、中国からの輸入品に対する10%の追加関税を発動した。カナダとメキシコへの25%の関税は1か月延期すると発表した。不法移民や合成麻薬フェンタニルの流入対策を強化することで両国首脳と合意した。
米国は現在、中国からの輸入品に対して品目ごとに関税をかけており、税率は例えば、電気自動車(EV)は100%、EV用電池は25%、旧世代半導体は50%となっている。追加関税はこれにそれぞれ10%を上乗せするものだ。
中国政府は4日、米国による追加関税の発動を受け、米国から輸入する石炭や液化天然ガス(LNG)に15%、原油や農業機械、大型自動車などに10%の追加関税を課すと発表した。10日から実施する。
トランプ氏は3日午後、中国との協議について米ホワイトハウスで記者団に「24時間以内に話すつもりだ」と明かした。「中国と良い会合ができるだろう。会合を計画しているので、どうなるか見てみよう」とも述べた。ロイター通信によると、トランプ氏は4日、中国の習近平(シージンピン)国家主席と関税を巡って協議するという。
トランプ氏はメキシコのシェインバウム大統領とは3日朝に電話会談し、メキシコが国境に兵士1万人を送ることで合意した。トランプ氏は自身のSNSで「非常に友好的な会話だった」と述べ、今後1か月、ルビオ国務長官やベッセント財務長官らとメキシコ政府高官が閣僚級交渉を進めると明らかにした。
シェインバウム氏は3日の記者会見で、関税実施の1か月延期は自分から提案したと明かし、「両国にとって良い結果を出せると確信している」と強調した。
トランプ氏はカナダのトルドー首相とも3日朝、午後の2度にわたって電話会談した。自身のSNSで協議について「何十万もの米国人の命を奪い、家族や地域社会を破壊しながら米国に流入している違法薬物の脅威を最終的に終わらせることに合意した」と表明した。