〈「東日本大震災があったから、大地震はしばらくこない」と思ったら大間違い…京都大学名誉教授が教える「今の日本が抱えるリスク」〉 から続く
いまから約10年後、2030年代に起きると言われている「南海トラフ地震」。京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏が「その被害規模は、東日本大震災を超える」と語る理由とは? 新刊『 「地震」と「火山」の国に暮らすあなたに贈る 大人のための地学の教室 』(ダイヤモンド社)より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/ 最初から 読む)
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「南海トラフ巨大地震」が起きたらどうなる?
東日本大震災が起きた東日本に対して、西日本はどうかというと、同じような地震が発生する可能があります。
それが南海トラフ巨大地震です。
トラフとは海底の細長い窪みのことで、海溝よりは浅くて幅が広い。南海トラフは図では左のほうにあります。南海トラフは静岡県から紀伊半島、四国、九州の沖合まで伸びています。
南海トラフ巨大地震の対象は3つの場所(静岡沖の東海地震、名古屋沖の東南海地震、四国沖の南海地震)にわかれていて、さらにもう一つ九州の日向灘地震もあって、いったん地震が起きると、この4つが連動します。
南海トラフ巨大地震が予想されるのが、2035年をピークにしてその前後の5年です。わかりやすく説明するなら2030年代で、いまから約10年後です。
その地震が起きると、どのような被害が出るか、先にそのことをお伝えしましょう。
東日本大震災は死者の数が2万人ぐらいで被害総額はおよそ20兆円でした。一方、南海トラフ巨大地震は死者の数が32万人、被害総額220兆円とされています。恐ろしいことに、被害が一桁も大きくなります。これほどの被害の差がある最大の理由は、南海トラフ巨大地震の影響を受ける地域に人が多く住んでいるからです。つまり、人口密度の高い地域ほど災害が拡大するのです。
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鎌田 浩毅/Webオリジナル(外部転載)