「世紀の誤報」「フジは訴訟すべきだ」などの声もあるが…。「フジ→文春」大衆の矛先が一気に変わった本質的な理由


【画像】記事をしれっと訂正? 『週刊文春』編集長が発表した声明

 とりわけ週刊文春が事件当日の会食について、被害者がフジテレビの幹部A氏に誘われたとしていたものを、「中居氏に誘われた」「A氏がセッティングしている会の“延長”と認識していた」と訂正し、お詫びしたことに批判が集中した。

 それだけコンプライアンスや正確性に過敏になっているともいえるが、もっと重要なことは、この一億総付和雷同するかに見える状況にデジタルメディアの生態系の力学が影を落としていることだろう。

■大きく様変わりした“情報の広がり方”

 スマートフォンとSNSの普及などによって、情報の広がり方は大きく様変わりし、発信する側もその特性に適応した。

 このような構図は、2000年代以降、アテンション・エコノミー(関心経済)という概念で語られてきた。かつて社会学者のマイケル・ゴールドハーバーは、世界経済が物質ベースのものから人間の注意力に基づく情報ベースのものへと移行すると予見した。

 法学者のティム・ウーは、先の概念を踏まえ、「アテンション・ブローカー」という考え方を提唱した。この場合の仲介とは人間の注意・関心を転売することを指す。人々に娯楽やニュース、無料サービスなどを提供することで注目を集め、その注目を広告主に転売して現金を得ることである(Blind Spot: The Attention Economy and the Law/Antitrust Law Journal Vol.82〈2019〉)。



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