東海「幻のクジラ」:迎日湾石油・ガス田開発、経済性乏しく暗礁に乗り上げる

日本の読者の皆様、こんにちは。今回は、韓国の迎日湾(ヨンイルマン)における石油・ガス田開発計画、通称「シロナガスクジラ(クジラの背)」プロジェクトの現状について、詳しく解説いたします。大きな期待を背負って始まったこのプロジェクトですが、最初の探査結果を受け、経済性が見込めず、計画は暗礁に乗り上げた様相を呈しています。

迎日湾の夢:資源大国への期待と挫折

韓国政府は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領主導の下、迎日湾における石油・ガス田開発に大きな期待を寄せていました。特に「シロナガスクジラ」と呼ばれる有望な地点への期待は高く、国民に向けて大々的に発表されるほどでした。しかし、2022年12月20日から47日間、水深3021メートルに及ぶボーリング探査を実施した結果、ガスは確認されたものの、経済的に採算が取れる規模ではないことが判明しました。

ボーリング船のイメージボーリング船のイメージ

産業通商資源部の高官は、「ガスの兆候は確認できたが、経済性を確保できる水準ではない」と発表。今後の追加探査の必要性は低いと判断し、事実上「シロナガスクジラ」地点における開発は断念せざるを得ない状況となりました。

政府発表の迷走:「サムスン電子の5倍」の価値はどこへ?

当初、政府は中間結果を5~6月、最終結果を8月に発表する予定でした。しかし、「国民の関心と株式市場への影響」を考慮し、2月6日に暫定的な結論を発表。昨年6月、尹大統領が初めてこの計画を発表した際、当時の産業通商資源部長官は、「埋蔵価値はサムスン電子の時価総額の5倍」と発言していました。しかし、今回の発表では、この発言は「意図しなかった発言であり、申し訳ない」と謝罪しました。政府発表の迷走ぶりが、プロジェクトへの信頼性を揺るがす結果となっています。

石油・ガス田のイメージ石油・ガス田のイメージ

今後の展望:残りの可能性と課題

政府は、「シロナガスクジラ」地点は、計画していた7つの探査地点のうちの1つに過ぎないと説明し、今回のデータをもとに、残りの6つの地点での探査を継続する方針を示しました。石油・ガス田の存在自体は確認されたため、他の地点での可能性に期待を繋いでいるようです。しかし、国会では関連予算が全額削減されており、今後の探査活動の資金調達は大きな課題となっています。政府は、海外からの投資誘致を通じて資金を確保し、国会での予算承認を得る考えを示していますが、実現への道のりは険しいと言わざるを得ません。

専門家の意見

エネルギー経済研究所の山田博士(仮名)は、「今回の結果は残念だが、探査初期段階での失敗はよくあること。残りの地点での探査に期待したい。ただし、資金調達の問題は深刻であり、政府の具体的な対策が求められる」と指摘しています。

まとめ:エネルギー安全保障への険しい道

迎日湾石油・ガス田開発は、韓国のエネルギー安全保障にとって重要なプロジェクトでした。しかし、「シロナガスクジラ」地点での探査失敗により、計画は大きな転換期を迎えています。今後の探査活動の行方、そして政府の対応に注目が集まります。