経済アナリスト森永卓郎氏が1月28日、67歳で逝去されました。がん闘病の末でしたが、この春、氏の“遺作”が出版される予定です。最後の担当編集者への取材を通して、その刊行に秘められた森永氏の覚悟と死生観、そして執筆への情熱に迫ります。
最後の1週間まで執筆活動に尽力
三五館シンシャ代表であり、森永氏の最後の担当編集者でもある中野長武氏は、亡くなる1週間前まで森永氏と連絡を取り合っていたと語ります。2023年11月に余命4ヶ月を宣告されてからも執筆活動を続け、病魔と闘いながら最後の力を振り絞っていた森永氏の姿が目に浮かびます。
森永卓郎氏
ベストセラー作家との出会い
中野氏と森永氏の出会いは、ある一本のメールがきっかけでした。「どこからも出版を断られた原稿がある」という森永氏の言葉に、中野氏は驚きながらも原稿を読み進め、その面白さに心を奪われたといいます。こうして生まれたのが、20万部を超えるベストセラー『ザイム真理教』でした。
森永氏と編集者
変わらぬ情熱と「泥まみれの子供」
がん宣告後も森永氏の仕事への姿勢は変わらなかったと中野氏は語ります。森永氏自身、自分の人生を「泥まみれの子供」に例え、朝から晩まで泥んこ遊びに夢中な子供のように、人生を全力で駆け抜けてきたと語っていたそうです。
闘病中もその疾走感は衰えることなく、メールのやり取りを通して、まるで会話をしているかのような活発な意見交換が続けられたといいます。森永氏の揺るぎない情熱とバイタリティが、死の淵に立ってもなお、創作意欲を燃え上がらせていたのでしょう。
遺作への想い
2作目の『書いてはいけない』の執筆中にがんと診断された森永氏は、これが遺作になるかもしれないという覚悟を持っていたといいます。中野氏もその想いを汲み取り、何としてもこの本を世に出したいという一心で出版に尽力しました。
尽きることのない創作意欲
森永氏の創作意欲は尽きることがなく、わずか2年間で中野氏が手がけた著作は6冊にも及びます。病魔に侵されながらも、精力的に執筆活動を続け、読者に多くのメッセージを残しました。
森永卓郎氏の遺作は、氏の生き様と情熱が凝縮された一冊となることでしょう。出版を心待ちにしたいと思います。