経営コンサルタント、いわば「経営のプロ」と呼ばれる存在。しかし、その実態はIT、財務、採用、人材教育など、多岐に渡る分野で活動するフリーランスのコンサルタントが増加しており、真の経営コンサルタントとは言い難い状況となっています。今回は、増加する経営コンサルタントの倒産背景や、真の「経営のプロ」について探っていきます。
経営コンサルタント倒産の現状
東京商工リサーチのレポートによると、2024年の経営コンサルタント業の倒産件数は前年比7.6%増の154件と、過去最多を記録しました。これは負債額1000万円以上の企業に限った数字であり、個人事業主を含めるとさらに多くの倒産が発生している可能性があります。
なぜ倒産が増えているのか?
経営コンサルタント業は、特別な資格がなくても開業できるため、参入障壁が低い点が特徴です。大手コンサルティングファーム出身者の中には、前職の繋がりを活かして顧客を獲得するケースも多いですが、少人数での活動では知識やスキルの陳腐化が避けられず、顧客維持が難しくなる傾向にあります。
中小企業の経営相談イメージ
また、景気回復に伴い、企業の業績が改善するとコンサルタントの需要が減少する傾向があります。コストカットなどのノウハウも社内に蓄積されるため、コンサルタントへの依存度が低下するのです。
中小企業診断士のA氏は、「野良コンサル」と呼ばれる、資格を持たずに活動するフリーランスのコンサルタントの増加を指摘しています。専門知識や倫理観が不足したコンサルタントが増えることで、業界全体の信頼性が低下する懸念も生じています。
コンサルタント業界の細分化と課題
近年、コンサルタント業界では専門特化が進んでいます。例えば、補助金申請支援に特化したコンサルタントなど、ニッチな分野に焦点を当てたサービスを提供する企業が増えています。
専門化の功罪
専門化は、特定のニーズに対応できるというメリットがある一方で、需要の変化に脆弱であるというデメリットも抱えています。コロナ禍で需要が急増した補助金申請支援コンサルタントの中には、需要の減少に伴い倒産するケースも出ています。
大阪を拠点とする北浜グローバル経営の破産は、その一例です。同社はコロナ禍で急成長を遂げましたが、補助金需要の減少により20億円を超える負債を抱え破産しました。従業員数を急激に増やしたことも、資金ショートの一因と考えられています。
真の「経営のプロ」とは?
真の「経営のプロ」とは、単なる専門知識だけでなく、広い視野と深い洞察力を持つことが重要です。企業の現状を正確に把握し、最適な解決策を提案できる能力が求められます。
百年コンサルティングの鈴木貴博氏は、インボイス制度導入に伴うIT導入補助金申請の際に、専門のコンサルタントを活用した経験を語っています。複雑な行政手続きに対応するには、専門家の知識と経験が不可欠であることを示す事例と言えるでしょう。
顧客の成功を支援するパートナー
真の「経営のプロ」は、顧客の成功を第一に考え、長期的な視点で支援を行うパートナーです。単なる知識の提供ではなく、顧客と共に課題解決に取り組み、持続的な成長をサポートしていく姿勢が重要です。
経営コンサルタント業界は、変化の激しい時代を迎えています。真の「経営のプロ」として生き残るためには、常に学び続け、顧客のニーズに応えるための努力を怠らないことが求められます。