京都国際映画祭や京都市の施策を、よしもとクリエイティブ・エージェンシー(現吉本興業)所属の漫才コンビ「ミキ」にツイッターで発信してもらうため、市が平成30年度に同社へ計100万円を支払う契約をしていたことが28日、市への取材で分かった。市は若者の市政への関心を高めるためと説明するが、有識者からは「広告と明示するのが望ましい」との声が上がっている。
市によると、同社所属の芸人で「京都市盛り上げ隊」を結成し、市の施策を発信するPR事業の委託契約を、同社と総額420万円で締結。契約には、イベント出演のほか、京都市出身の兄弟漫才コンビ「ミキ」が会員制交流サイト(SNS)を使い、計100万円で2度情報発信することなどが含まれていた。
市はSNSの投稿に地下鉄の利用促進や映画祭PRの趣旨を盛り込むよう要請。ミキは昨年10月ごろ、映画祭やふるさと納税、市営地下鉄をPRする内容を2人で計4回投稿した。
投稿には「京都を愛する人なら誰でも、京都市を応援できるんやって」などと記されたが、「PR」などの記載はなく、投稿の検索目印の「#(ハッシュタグ)京都市盛り上げ隊」のみ書き込まれていた。
口コミなどを装い、消費者に気づかれないよう行うPRや宣伝は「ステルスマーケティング(ステマ)」といわれ、近年はたびたび問題になっている。
市の担当者は今回の投稿について「京都市盛り上げ隊のハッシュタグがあり、市との関連は示されている」とした上で、「誤解を生み見た人を欺くものではなく、ステマにはあたらない。若い人に効果的な手法。金額も妥当」と主張している。
一方、自治体広報に詳しい東海大学の河井孝仁(たかよし)教授(情報科学)は「#で便益を明示することもあるので投稿はステマに当たらないが、『#京都市盛り上げ隊』だけではミキの自発的投稿と誤認される可能性もある。広告やPRと明示するのが望ましい」と指摘している。