元受刑者のコンサルが司法試験合格 「負け犬」から奮起





司法試験に合格した佐藤真言さん。合格証書を手に、詐欺容疑で取り調べを受けた東京地検特捜部がある検察庁の庁舎を見上げた=東京・霞が関(市岡豊大撮影)

 8年前に東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕、起訴され、実刑判決を受けた経営コンサルタント、佐藤真言(まこと)さん(46)が、9月に発表された今年の司法試験に合格した。当時は自身の罪を受け入れられなかったが、「自分も真っ白ではなかった」と振り返り、「負け犬で終わりたくない」と一念発起。刑期を終えた後、コンサル業を再開しつつ屈指の難関試験を突破した。「社会復帰を目指す人に勇気を与えられる存在になりたい」と意気込んでいる。(市岡豊大)

■「話せば分かるはず…」

 「佐藤さんに家宅捜索令状が出ています」

 平成23年7月6日朝、自宅に突然やってきた特捜部の検察事務官から突きつけられた令状によって佐藤さんの人生は暗転した。

 大手銀行を退職後、中小企業の再建支援コンサル会社を設立。小所帯ながら顧客を数十社抱え、順調に業績を伸ばしてきた。

 佐藤さんは2カ月後の9月15日、逮捕された。

 容疑は詐欺。顧客の社長と共謀し、東日本大震災の復興緊急保証制度を悪用、顧客会社の決算報告書を実際は約1億円の損失だったのに、約2300万円の利益と偽って銀行に提出し、融資金約1億円をだまし取ったなどとされた。

 顧客の中には資金繰りが悪化し、融資を引き出せないと倒産に追い込まれる恐れのある企業もあった。ギリギリまで経費を切り詰め、銀行との返済計画の見直し交渉も検討した上で、最後の手段として決算をごまかすことは確かにあった。

 しかし、佐藤さんはコンサル料以外に顧客から報酬を受け取ったことはなく、悪いことはしていないという自信があった。捜索を受けた当初は「話せば分かってくれるはずだ」と自分に言い聞かせていた。

 疑われた顧客会社は融資をすべて事業資金に回し、約定通りの返済を続け、再建の道を歩んでいた。銀行は取引先が再建して債務を返済してくれればいいはずで、むしろ銀行も暗に粉飾を分かって融資するものだと思っていた。多くの中小企業が決算を粉飾せざるを得ない状況にあったからだ。

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