韓国ユン大統領弾劾審判の行方:保守層の結束強まるも、国民世論は二分

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領に対する弾劾審判が長期化する中、国民の意見は依然として二分されている。保守層は弾劾反対で結束を強めている一方、中道層を中心に弾劾賛成の声も根強く、今後の政局は予断を許さない状況だ。

保守層の結束:弾劾反対が89%に

最新の世論調査(エムブレインパブリック、ケイスタットリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチによる全国指標調査・NBS、3〜5日実施、全国の有権者1005人対象)によると、「ユン大統領の弾劾を認め、罷免すべきだ」との回答は55%、「弾劾を棄却し、職務に復帰させるべきだ」との回答は40%だった。1月第2週の調査と比較すると、弾劾賛否の差は縮小しているものの、依然として国民世論は二分されていると言える。

注目すべきは保守層の動向だ。「国民の力」支持層の89%、保守層全体の76%、そして大邱・慶尚北道(TK)地域の60%が弾劾反対を表明しており、保守層の結束が強まっていることが鮮明になっている。

alt=弾劾審判に出席するユン大統領alt=弾劾審判に出席するユン大統領

2017年のパク・クネ(朴槿恵)元大統領の弾劾時には、保守層の70〜80%が弾劾に賛成していた。今回のユン大統領のケースは、当時の状況とは大きく異なり、保守層の結束ぶりが際立っている。

ユン大統領の主張と与党「国民の力」の対応

ユン大統領自身も弾劾審判において、「非常戒厳の発令は国家と自由民主主義を守るための行動だった」「拘束は不当であり、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の捜査権も問題だ」などと主張し、世論への働きかけを強めている。

こうしたユン大統領の主張は、保守層の結束をさらに強固にする要因となっていると考えられる。政治評論家のキム・ヨンチョル氏は、「ユン大統領の積極的な姿勢が、支持層の結束を促している」と分析している。

与党「国民の力」もユン大統領支持の姿勢を明確にしている。党指導部や議員が相次いでユン大統領支持を表明し、親ユン派議員は大統領と面会するなど、結束をアピールしている。

中道層の動向が鍵を握る

一方、中道層の64%は依然として弾劾に賛成しており、今後の政局を左右する鍵を握っていると言えるだろう。仮に弾劾が認められ、大統領選が早期に実施される場合、与党「国民の力」にとって大きな負担となる可能性が高い。

今後の展開

ユン大統領の弾劾審判の行方は、韓国政治の今後を大きく左右する。今後の世論の動向、特に中道層の動向が焦点となる。

政治アナリストのイ・ジス氏は、「中道層の動向次第で、韓国政治は大きく揺れ動く可能性がある」と指摘している。今後の展開から目が離せない状況だ。