中国自動車市場:生き残りへ、智能化の波に乗れるか?

中国自動車市場は、まさに群雄割拠の時代を迎えています。かつては電動化が競争の軸でしたが、今や自動運転などの「智能化(スマート化)」が勝敗を分ける鍵となっています。この激しい競争の中、外資系ブランドは苦戦を強いられ、生き残りをかけた戦いが繰り広げられています。

智能化:生き残りの条件

マッキンゼー・アンド・カンパニーは、今後1~2年以内に適切なスマート電動車を投入できない自動車メーカーは淘汰されると警告しています。Xpengの何小鵬CEOも、智能化に遅れをとるメーカーは成長の機会を失うと危機感を募らせています。NIOの李斌CEOも、中国のスマート電動車市場は最も激しい競争の段階にあり、今後数年間で生き残れるのは一握りの優秀な企業だけだと予測しています。

alt_text: 中国で販売されているEV車alt_text: 中国で販売されているEV車

外資系ブランドの苦戦

かつては先進技術とブランド力で優位に立っていた外資系ブランドも、電動化と智能化の波に乗り遅れ、苦境に立たされています。2024年の外資系メーカーの中国市場シェアは約35%。中国メーカーの値下げ競争も激化し、トヨタ、ホンダ、日産など日系大手3社も販売台数を減らしました。マッキンゼーは、2025年には外資のシェアが30%程度まで低下する可能性があると予測しています。

中国メーカーの躍進

一方、中国メーカーは最新技術を搭載したモデルを次々と投入し、シェアを拡大しています。例えば、XiaomiのEV「SU7」は、スマホとの連携機能やAIアシストなど、先進技術を搭載し人気を集めています。ファーウェイの「HiCar」や「鴻蒙OS」を搭載した車も増加傾向にあります。

技術提携の動き

外資系メーカーも中国企業との技術提携を通じて巻き返しを図っています。トヨタはテンセントと、日産はバイドゥと提携し、ソフトウエアやAI技術の導入を進めています。マッキンゼーは、これらの提携による新型モデルが2026~2027年に市場投入されると予測しています。

利益度外視の投資競争

中国メーカーは将来の市場シェア獲得のため、利益を度外視した巨額投資を続けています。その結果、業界全体の利益率は低下傾向にあります。国家統計局によると、自動車製造業の利益率は2024年には過去最低の4.3%まで落ち込みました。

研究開発投資の加速

マッキンゼーは、利益縮小の主な要因は研究開発投資の急増にあると指摘しています。欧州委員会の調査によると、中国の自動車メーカーの研究開発投資は2023年にドイツメーカーを上回り、2017年比で4倍以上に増加しました。この巨額投資により、中国メーカーは驚異的なスピードで技術革新を実現しています。

世界の自動車産業の再編

マッキンゼーは、電動化と智能化の進展により、世界の自動車産業の再編が加速すると予測しています。2030年には中国メーカーが世界販売上位10社の半数近くを占める可能性があるとみています。今年の動向が、今後の大きな変革を左右する重要な一年となるでしょう。