この記事では、元東大生でプロ格闘家、そして会社員という異色の経歴を持つ巽宇宙さんが、双極性障害と診断されるまでの経緯や、その経験を公に語る理由についてご紹介します。巽さんのストーリーを通して、双極性障害への理解を深め、同じように苦しむ人々への希望となるメッセージをお届けします。
東大、格闘技、そして会社員。順風満帆に見えた人生の裏側
巽宇宙さんは、東京大学大学院在学中にプロ格闘家としてデビュー。卒業後は一般企業に就職し、格闘技と会社員の両立という異色の道を歩みました。
巽宇宙さんの写真
当時のファイトマネーは決して高くなく、生活のために就職は必須だったと巽さんは語ります。食品会社では開発企画、マーケティングを担当し、コンビニで販売されるプロテインバーの開発に携わるなど、大きな成果を上げました。現在では当たり前となったプロテインバーですが、コンビニでの販売を実現させた先駆者の一人と言えるでしょう。
しかし、一見順風満帆に見えた人生の裏側で、巽さんは精神的な苦しみを抱えていました。「プロダクトマネージャーに昇進した頃から、うつ病の症状が酷くなっていった」と巽さんは振り返ります。体調不良を理由に部署異動を経験するも、最終的には会社を辞めることになりました。
うつ症状の悪化と双極性障害の診断
キャリアも順調で、格闘家としても活躍していた巽さん。しかし、その内面ではうつ症状が徐々に悪化していきました。
仕事での責任が増すにつれ、プレッシャーやストレスも増大。当初は「ただの疲れ」と考えていた巽さんですが、次第に日常生活にも支障が出るほど症状が悪化していきました。
気分の落ち込みが激しくなり、仕事への集中力も低下。趣味の格闘技にも身が入らず、以前の活力を失っていきました。「精神科医の佐藤先生(仮名)の診察を受け、双極性障害と診断された時は、正直驚きと同時に、どこか安堵した気持ちもありました。」と巽さんは語ります。
双極性障害との向き合い方
巽さんは、自身の経験を基に、双極性障害と向き合うためのアドバイスを語っています。
- 自分の状態を理解し、受け入れることが大切。
- 専門医の診察を受け、適切な治療を受ける。
- 家族や友人、職場など、周りの人に理解を求める。
- 規則正しい生活を心がけ、ストレスを溜め込まない。
- 自分のペースで、できることから少しずつ始める。
病気を公表した理由と今後の展望
巽さんは自身のブログやSNSを通して、双極性障害の経験を公表しています。その理由について、「同じ病気で苦しむ人々に、自分だけではないということを伝えたい。そして、双極性障害への理解を深めてもらいたい」と語ります。
巽さんの勇気ある行動は、多くの共感を呼び、双極性障害に対する社会の理解促進に貢献しています。精神疾患に対する偏見をなくし、誰もが生きやすい社会の実現に向けて、巽さんの活動は今後も大きな意味を持つでしょう。
今後は、自身の経験を活かし、講演活動や啓発活動にも力を入れていく予定です。「双極性障害は、適切な治療と周りの理解があれば、克服できる病気です。諦めずに、前向きに生きていくことが大切です。」と力強いメッセージを送っています。