イスラエルとハマスの紛争で、ドナルド・トランプ元大統領がハマスに対し、ガザ地区で拘束している人質全員を解放するよう最後通告を出しました。期限は「土曜日12時」。応じない場合は「地獄のようなとんでもない事態」になると警告し、国際社会の注目を集めています。
トランプ元大統領、ハマスの譲歩を要求
ホワイトハウスでの記者会見で、トランプ元大統領はハマスに対し、人質を「土曜日12時」までに解放するよう要求。期限までに解放されなければ、「地獄のようなとんでもない事態」が始まると警告しました。この「12時」が正午なのか、真夜中なのか、どの時間帯を指すのかは不明瞭です。
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この強硬な姿勢は、ハマスが停戦合意違反を主張し、今週土曜日に予定されていた人質解放を延期したことに対する反応です。トランプ元大統領は人質全員の即時解放を強く求めており、「少しずつではなく一度に」解放されることを期待すると述べています。
ガザ地区再建構想とパレスチナ難民の帰還問題
トランプ元大統領は以前、アメリカがガザ地区を再建する計画を発表し、近隣諸国に再定住するパレスチナ難民約200万人はガザに戻る権利はないと発言しました。ガザ地区のパレスチナ人は「ずっと良い家に住める」ようになり、「恒久的な定住の場所」が建設されると主張しています。
この構想は国際的な非難を浴びていますが、トランプ元大統領はガザを「買い取り、所有する」ことにコミットしていると繰り返し強調。パレスチナの土地は「売り物ではない」というハマスからの反発も無視しています。
パレスチナ難民の再定住先として、トランプ元大統領はヨルダンやエジプトを提案していますが、両国をはじめとする近隣諸国は反発しています。ヨルダン国王との会談を控えている中、トランプ元大統領はこれらの国々が難民を受け入れると楽観的な見方を示しました。さらに、受け入れを拒否した場合、援助を停止する可能性も示唆しました。
国際社会の反応
イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ元大統領の提案を称賛しましたが、パレスチナ自治政府は土地の権利は交渉の対象ではないと反発しています。ハマスの幹部もトランプ元大統領の発言を「ばかげている」と一蹴し、パレスチナと地域情勢への無知を露呈していると批判しました。
パレスチナの人々は、1948年のイスラエル建国に伴う「ナクバ(大災害)」の再来を懸念しています。「ナクバ」では多くのパレスチナ人が故郷を追われ、難民となりました。現在、ガザ地区の人口の多くは、この時の難民とその子孫です。パレスチナ人は故郷に戻る権利を主張していますが、イスラエルはこれを拒否しています。
周辺諸国もトランプ元大統領の計画に懸念を示しています。ドイツのショルツ首相は「とんでもない話」と批判し、住民の移転は国際法違反だと指摘しました。
今後の展開
トランプ元大統領によるハマスの最後通告は、中東情勢に更なる緊張をもたらしています。人質解放の期限が迫る中、今後の展開に世界中の注目が集まっています。