播磨臨海地域道路建設:住民の反対運動、署名活動3市に拡大

播磨臨海地域道路の建設計画に対し、高砂市、加古川市、姫路市の住民から強い反対の声が上がっています。立ち退きの可能性や環境への影響を懸念する住民グループが結成され、計画撤回を求める署名活動が3市に広がっています。本記事では、住民たちの訴えと計画の現状について詳しく解説します。

住民の不安と反対運動の広がり

播磨臨海地域道路は、神戸市から姫路市を結ぶ自動車専用道路として計画されています。物流強化や渋滞解消を目的としていますが、ルート案が提示されたことで、住宅の立ち退きや環境悪化を懸念する住民たちの不安が高まっています。

高砂市の住宅地の様子高砂市の住宅地の様子

高砂市西畑地区では、50軒以上の住宅が立ち退き対象となる可能性があり、住民グループ「播磨臨海地域道路に反対し住民自治を守る高砂の会」が結成されました。83歳の嶋谷数博さんは「50年前に建てた家が立ち退き対象になるとは…」と戸惑いを隠せない様子。静かな余生を送りたいという願いとは裏腹に、立ち退きの不安に苛まれています。高砂の会は、既に市と県に署名を提出しており、計画撤回を求めて活動を続けています。

加古川市と姫路市でも反対運動が活発化

加古川市別府町西脇地区と姫路市的形地区でも、それぞれ住民グループが結成され、署名活動が展開されています。姫路市では自然豊かな里山の破壊が懸念されており、加古川市でもルート案への不安が広がっています。3市合同で4月にも斎藤元彦知事に署名を提出する予定です。

計画の背景と現状

播磨臨海地域道路の計画は、播磨臨海部の活性化を目的として1998年にスタートしました。沿線自治体や経済団体が国に要望を続け、2016年に現在の計画路線が設定されました。

計画ルートと事業費

計画ルートは約50キロメートルで、そのうち約32キロメートルについてルート案が提示されています。事業費は約5900億円と試算されていますが、事業主体や総事業費は未定です。県は2038年までに一部区間、2050年までに全線の整備を目指しています。

播磨臨海地域道路の計画ルート図播磨臨海地域道路の計画ルート図

住民説明会と自治体の対応

2023年以降、沿線で計62回の住民説明会が開かれています。高砂市は「立ち退きの際には金銭補償をする」としていますが、住民からは「丁寧な説明が不足している」という声も上がっています。都倉達殊高砂市長は住民との面会で計画の必要性を訴えましたが、住民の不安は解消されていません。

今後の展開

住民の反対運動は今後さらに活発化することが予想されます。立ち退き対象となる住民の生活への影響、環境への負荷、そして巨額の事業費の妥当性など、多くの課題が残されています。計画の行方は、住民の声がどのように反映されるかにかかっています。