共働き夫婦が約7割を占める現代において「稼ぐ妻」が世帯年収を押し上げ、存在感を増している。これを戦略的に捉え、「妻の稼ぎを伸ばす」ことで世帯年収を倍増させている者たちがいる。彼らに共通するものは何なのか。新時代の夫婦の戦略を解明していく!
自分の仕事の知見を生かして妻の収入アップ
夫(53歳):年収800万円
妻(53歳):年収2500万円
自分の仕事の知見を生かし、妻の収入を伸ばす夫もいる。フリーのデザイナーで、広告デザインを手がけている三浦明子さん(仮名・53歳)は夫の存在についてこう打ち明けた。
「メーカー勤務の夫は、マネジメントやデザイン発注の経験があるので、クライアントの意図や予算感に関して適切なアドバイスをしてくれます。夫のおかげで『気持ちを酌んでくれて助かる』とクライアントからも高評価。最近ではアートディレクションの仕事も舞い込むように。夫はもはやプロデューサーですね(笑)」
夫が仕事のサポーター的な役割を担い始めてから明子さんの年収は右肩上がり。夫の年収800万円に対し2500万円まで増え、これぞ夫婦で稼ぐの理想のモデルケースと言える。
重要なのは男らしさの呪縛に捕らわれないこと
稼ぐ妻を陰ながらサポートする夫がいる一方で、多くの人は稼ぐ妻を男のプライドが邪魔をして割り切れないでいる。「自分より妻の年収のほうが高い」既婚男性500人を対象にしたアンケートで、「Q2の『“年収上妻”に抵抗はなかった(79.2%)』という回答からわかる通り、昭和から根づく男らしさに縛られないことも重要」と指摘するのは、自身も“男らしさ”の呪縛に苦しめられた作家の白岩玄氏だ。
「働き方が多様化しているとはいえ、“正社員が正義”や“男が稼ぐべき”といった社会からの無言の圧力は根強い。僕自身、収入が不安定なことで結婚を躊躇したこともあるし、妻の稼ぎが自分を上回り、劣等感に苛まれたこともあります。幸いにも男女の役割にこだわりがなかった妻が『苦手な部分はお互いが寄り添えばいいし、男性が稼ぐべきとも思わない』と言ってくれたから、旧来的な男らしさに縛られず、自分の弱さを少しずつ見せられるようになっていきました」
前時代的な価値観を脱ぎ捨て、新しい共働きの形を取り入れられれば世帯年収を爆上げすることは夢でない。