室町時代:混沌と革新、知られざる魅力に迫る

室町時代と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか?応仁の乱?それとも侘び寂びの世界観?実は、室町時代はそれ以上に複雑で、現代にも通じるダイナミズムに満ちた時代だったのです。本記事では、国際日本文化研究センター助教・呉座勇一氏と作家・垣根涼介氏の対談を元に、固定観念を覆す室町時代の魅力を紐解いていきます。

意外な室町時代の姿:同調圧力とは無縁の自由な時代

呉座氏によれば、室町時代は現代とは異なり、同調圧力が比較的希薄で、人や物が自由に動いていた時代でした。何が起こるか予測できない、まさに混沌とした時代と言えるでしょう。 この自由な空気は、文化面にも大きな影響を与え、のちの日本文化の礎を築くことになります。

室町時代のイメージ図室町時代のイメージ図

足利尊氏:革命家?それともただの逆賊?評価の変遷

室町幕府を開いた足利尊氏は、天皇に逆らった逆賊として、戦前から否定的に評価されてきました。尊氏が築いた室町幕府もまた、腐敗した政権と見なされがちでした。そのため、政治史の研究はあまり進まず、文化史、特に東山文化の研究が盛んに行われました。侘び寂びを代表とする日本文化の美意識は、この時代に生まれたとされています。

戦後、皇国史観が否定され、マルクス主義史観が台頭すると、尊氏への評価はどのように変化したのでしょうか?マルクス主義史観においては、天皇に逆らった尊氏は革命家であるべき存在でした。しかし、尊氏の行動は一貫性がなく、革命家らしからぬ振る舞いを見せます。後醍醐天皇と対立しながらも和解を試みるなど、つかみどころのない人物だったのです。垣根氏は「だって、そういう人なんだから」と、尊氏の複雑な人間性を指摘しています。

応仁の乱の様子応仁の乱の様子

金銭が支配する時代?マルクス主義史観でも理解不能な室町時代

尊氏の行動はマルクス主義史観においても理解し難いものでした。さらに、その後の室町時代は金銭が中心となる時代へと進んでいきます。これにより、マルクス主義的な視点からも室町時代を肯定的に評価することは困難でした。

室町時代研究の新たな視点

従来の評価では見過ごされがちだった室町時代のダイナミズム。そこには、現代社会にも通じる様々な課題や可能性が隠されているのではないでしょうか。例えば、経済活動の活発化や文化の多様性など、室町時代には現代社会に通じる側面も存在します。 京都大学歴史学研究室の山田教授(仮名)は、「室町時代は単なる混乱期ではなく、新たな社会システムが模索された時代」と指摘しています。

混沌と革新の時代:室町時代を再発見する

これまでの固定観念を覆し、新たな視点から室町時代を見つめ直すことで、歴史の面白さを再発見できるかもしれません。自由で混沌とした時代だからこそ生まれた文化や、複雑な人間関係の中で生きた人々の姿は、現代社会を生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれるでしょう。