住まいの選択と選んだインテリアの背景には、その人の価値観や生き方が凝縮されている。連載「だから、ひとり暮らし」では、部屋を通じて住人の物語を探る。今回ご紹介するのは、フリーランスのクリエイター、30歳の宮川裕二郎さん。
【写真(12枚)】宮川さんのセンスがあふれる部屋の様子。1つひとつにこだわり、集めた物に囲まれている。
宮川さんはコマーシャルやミュージックビデオなどを手がける映像クリエイターだ。華やかな世界で活躍しているが、実は大学の授業料すべてを奨学金で賄い、今も返済を続けている。宮川さんのライフスタイルや考えとは?
【写真】宮川さんのひとり暮らしの様子や、手がけたアート作品など(12枚)
■センスを生かした家賃6.5万円のオアシス
宮川さんの部屋は杉並区にある約30㎡程の1DK。家賃は6.5万円だ。
「家賃6.5万円は魅力です。僕の部屋選びの条件は、撮影の現場に近い都心にあって、仕事の機材を置ける広めの部屋。その条件を満たしつつ、なるべく家賃が安いところを探しました。そうなると、何かしらマイナス要素がある物件じゃないと厳しいですよね。
この部屋は築年数が古いことに加えて踏切が近いんです。午後2時頃から夜中の12時半ぐらいまでは踏切の音がすごくて。それが物件のマイナス要素だったのですが、僕、実家も踏切の近くで。だから、むしろ懐かしい感じがして全然平気でしたね。『ここでいいや』って自然に思えました」(宮川裕二郎さん 以下の発言すべて)
部屋は窓が2方に配置されていて日当たりが良く、観葉植物がよく育っている。建具は古いがグレージュと白でまとめられた明るい印象のカラーリングで、宮川さんがDIYしたフロアシートとの相性も良い。
「古着とかビンテージ感のあるものが、もともと好きなんです。家具や内装は、実家で経営している飲食店のアメリカンビンテージな雰囲気にインスパイアされています。父がFRPという強化プラスチックの職人で、店の外装も自分で全部作っていて。そういう姿勢にも影響を受けているかもしれません」
■不用品を譲り受けてお金はかけない
スニーカーに観葉植物のビカクシダを植えたり、高さ50cmはあろうかという大きな壺が飾られていたりと、独特なスタイルの部屋だが、実はそれほどインテリアにお金をかける主義ではないそうだ。