インターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者として知られるひろゆき(西村博之氏、48)が23日、ABEMAの報道番組「Abema Prime(アベプラ)」にリモート生出演し、日本の深刻な少子化問題を巡って自民党の田所嘉徳衆議院議員(71)と激しい議論を交わしました。ひろゆき氏は、現代の若者が直面する経済的な困難、特に奨学金(教育ローン)による多額の借金が、結婚や子育てを阻む最大の要因であると強く主張しました。
ひろゆき氏(西村博之氏)が真剣な表情でカメラを見つめるポートレート。日本の少子化問題に関する討論に参加した際の姿を想起させる。
田所議員の「昔はよかった」論とひろゆき氏の反論
議論の発端は、田所議員が少子化問題に触れ、「昭和24年当時、合計特殊出生率は4.3。約270万人の子供が生まれた頃は社会保障などありませんでした」と、過去の時代と比較してコメントしたことでした。これは、経済的な豊かさが必ずしも出生率の向上に繋がらないという趣旨の発言と見受けられます。
これに対し、ひろゆき氏は「田所さんが昔の話をしたのが、本当に日本らしいなと思ってて」と切り出し、現代の若者の現状を無視した議論に異議を唱えました。ひろゆき氏は、「今の大学生って過半数以上、50%以上が奨学金という名の教育ローンを持っているわけですよ。200、300万円の借金を負った状態で社会人になりました。夫婦だったら合わせて400万円とかですよ。子供なんて持てるわけなんかないじゃないですか」と、若者世代が抱える具体的な金銭的負担を挙げ、経済的な理由が少子化の直接的な原因であると指摘しました。
若者の現状を軽視する与党への批判
さらにひろゆき氏は、若者の経済的困難という現実を無視し、「昔の昭和はよかった」という議論に終始する与党の姿勢を厳しく批判しました。彼は、「若者の現状を置いておいて、昔の昭和はよかったよねっていうのを言ってるっていうのが、与党であるっていう時点で、少子化対策なんて頑張ってるわけねーじゃんって思う」と述べ、政府の少子化対策に対する本気度を疑問視する発言をしました。この発言は、政策立案者が現実を直視しない限り、効果的な対策は生まれないという強いメッセージを含んでいました。
「金の問題」か「価値観の問題」か:議論の核心
ひろゆき氏の発言を受け、田所議員は「多様な価値観を認めるということですね、結婚してこういう子供をつくろうとか、そんなことは言えない…」とコメントし、問題を個人の価値観の多様性にすり替えようとしました。しかし、ひろゆき氏はこれを遮り、「僕は金がないっていう話をしました。教育ローンで200万、300万、金がないっていう話をしてます。価値観の話なんてしてないですよ、金の話です」と強く反論し、議論の焦点を経済的な問題に明確に戻しました。
田所議員が再度「金のない時代にもたくさん子が生まれたわけですよ」と反論すると、ひろゆき氏は再び割り込み、「借金してないですよね? 昭和の時代の20代、過半数が200万、300万借金してました? 違いますよね?」と具体的な問いを投げかけました。その上で、「20代で借金を負うのが当然のような社会にしたのはあなた方ですよね」と、現代社会の経済的構造とそれが少子化に与える影響について、政治の責任を鋭く指摘し、議論は幕を閉じました。
結論
ひろゆき氏と田所議員の議論は、日本の少子化問題の根源が経済的な負担、特に奨学金に起因する若者の金銭的困難にあるというひろゆき氏の主張を鮮明に浮き彫りにしました。過去の成功事例に固執するのではなく、現代の若者が直面する現実的な経済的課題に目を向け、具体的かつ実効性のある経済的支援策を講じることが、少子化対策を推進し、若者が未来に希望を持てる日本社会を実現するための喫緊の課題であることを示唆しています。
参考資料
- Yahoo!ニュース: 「ひろゆき氏、少子化問題で自民党議員に「金がないっていう話」と反発「20代で借金を負うのが当然のような社会にしたのはあなた方」」(https://news.yahoo.co.jp/articles/6447a04b298287bd0cb5845b9621736abdd9dcd5)