橋本環奈NHK朝ドラ『おむすび』がヒロイン成長物語をやめ、“震災”“コロナ禍”を描く「迷走ぶり」


成長過程に触れず、6年経ってしまう展開

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今作では平成元年生まれのヒロインが、どんなときでも自分らしさを失わない“ギャル魂”を胸に突き進んでいく平成青春グラフティ。第18週からは、ヒロインの結(橋本)が大阪の総合病院で管理栄養士として働く姿が描かれている。

「子育てをしながら管理栄養士の勉強をする姿や、新人管理栄養士の成長過程にもまったく触れず、6年経ってしまう展開には驚くばかり。女性の一生を描く朝ドラにおいてヒロインの子育てや仕事の奮戦ぶりを描かない。今作は朝ドラ史上稀有の作品ではないでしょうか」(テレビ番組関係者)

そんな中、29歳を迎えたヒロイン結の生きる時代が2018年であることから、ある憶測を呼んでいる。

「今作が放送される2025年は、奇しくも阪神淡路大震災から30年の節目の年。そういった意味でも使命感に燃えて、これまで阪神淡路大震災や東日本大震災をクローズアップしてきました。そこで現在放送しているドラマの舞台である2018年から2年後に訪れる“コロナ禍”の病院を一体どうやって描くのか、ネット民の間では早くもそこに注目が集まっています」(前出・テレビ局関係者)

ヒロインの成長物語よりも、震災やコロナ禍をどう描くかに焦点を当てているのが、今作『おむすび』ということなのだろう。しかし第5週に描かれた阪神淡路大震災には、疑問を呈する声も上がっていた。

◆コロナ禍の混乱を描いても視聴者の琴線に触れると思えない

「第4週、糸島フェスティバルで結が“ハギャレン(博多ギャル連合)”の一員としてパラパラダンスを披露。後に夫となる翔也(佐野勇斗)から『あんな楽しそうな顔すんだな』『いつも寂しそうな顔をするのはなぜか』と聞かれ、9年前の阪神淡路大震災の体験が回想シーンとして語られる。これはいかがなものでしょうか」(制作会社ディレクター)

制作陣は、被災した翌日に前を向いた人もいれば、今もなお大切な人を失った悲しみから抜け出せない人もいる。同じ被災者でも悲しみを簡単に分かち合うことができない。そんな思いを伝えたかったに違いない。

ところが残念にもパラパラダンスの余韻が残る中で、被災者の悲しみを回想シーンで伝えるのは、土台無理があったと言わざるを得ない。

そしてコロナ禍の最中ならいざ知らず、あれから4年が経ち“コロナの記憶”が薄れつつある今、おそらく病院を舞台にするであろう「コロナ禍」を一体どう描くのか。当時報道された現場の混乱ぶりを今更上書きしたところで、視聴者の琴線に触れるとも思えない。こうした声に、どうやって答えるつもりなのか。

ヒロイン・結の子育てや、新人管理栄養士の成長物語をやめてまでも「コロナ禍」を描くことを選んだ脚本家・根本ノンジをはじめとする制作陣。果たしてどんなシーンを描くのか。もはや失敗は許されない……。

取材・文:島 右近(放送作家・映像プロデューサー)

FRIDAYデジタル



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