チリ南部の沖合で、カヤック中の男性がクジラにのみ込まれた。一緒にいた男性の父親が、その一部始終を撮影していた。複数の海外メディアが、衝撃の瞬間を報じている。
動画に映っているのは、アドリアン・シマンカスさん。パタゴニア地方、プンタアレナス市沖で、父親のデル・シマンカスさんとカヤッキングを楽しんでいた。
すると突然、下から巨大な黒い物体が現れ、カヤックごとアドリアンさんを巻き込み、潜ってしまう。ザトウクジラが、アドリアンさんを文字通りのみ込んだのだ。
幸いにも、アドリアンさんはすぐに海面に浮上した。カヤックにつかまる彼に、「冷静に」とデルさんが声をかける。アドリアンさんにけがはなかった。
クジラにのみこまれた一瞬「死んだかと思った」と、アドリアンさんはAP通信に語る。
「最初はシャチかと思ったんです。食べられた、のみこまれた、と思いました」
吐き出された後も、クジラが父親に危害を加えないか不安だったという。2人は無事、岸に戻った。
野生生物学者のヴァネッサ・ピロッタ氏はCNNに、ザトウクジラはオキアミか小魚の狩りをしていた最中だったのではと語る。
「この男性は、ちょうど捕食行動をしていたクジラの近くに居合わせてしまったのかもしれません」
「通常、ザトウクジラは人間の大きさの獲物を狙いません。歯がなく、食道が狭いため食べられないからです」
ドルフィン/ホエールウォッチングを兼ねたカヤッキングは、同エリアで人気のアクティビティのひとつ。「また海に戻りたいか?」というCNNの質問に対し、親子は「もちろん」と答えた。