冷蔵庫に貼られた1枚の手紙。『2分の1成人式』で、息子が母親に宛てたものだ。
「ぼくを産んでくれありがと。ぼくはこれから自分の命も大せつにします」――。
しかし5年後、息子は自ら命を絶ってしまった。
【画像を見る】「なんで4なないの」母親が目にした誹謗中傷の書き込み 亡くなる直前まで嫌がらせが続いたという
我が子がいじめに遭っているらしいことは、わかっていた。学校にも相談していた。
息子には、無理に学校に行かなくてもいいと伝えてあった。それなのに。
息子の死後、母親は絶望と怒りのはざまで、息子に何が起きていたのかを1つずつ解き明かしていった。
そこで見えてきたのは、直視するにはあまりにも辛い「SNSいじめ」の現実と、第三者委員会が下した“超異例”ともいえる判断だった。
◆エスカレートするいじめ、追い詰められる息子
息子は、大阪府門真市の市立中学校に入学し、大好きなバスケットボール部に入部した。でも、人懐っこくて明るかった我が子の表情は、少しずつ暗くなっていった。中学1年から始まった、いじめのせいだった。
学年のほぼ全員が登録しているグループLINE。やりとりを見て、息子に問うた。「何これ?なんでこんなに攻撃されてんの?」。息子は、「もう解決した」と繰り返すばかりだった。学校にも相談したが、進級とともにいじめはエスカレートしていった。
◆「学校に行かなくなったことを恥ずかしく思わんでいい」
これは自殺する約1か月前のやりとりだ。
息子「薬飲まへんかったら寝られへん」「クラスメイトから塩対応されている」
母親「これだけは言うとく。学校行かんくなった事を恥ずかしく思わんでいいんやから」
それでも、息子は中学3年生の私立高校への合格が決まった3日後に、自ら旅立ってしまった。2022年2月17日、3年前のきょうのことだ。
(母親)「高校に受かって喜んでいたんですよ。でも、せっかく受かったのに『あんまりうれしそうじゃなくない?』って言ったら、『友達できるんかな…』みたいな感じでポツンって言っていた」「『高校生になったら絶対友達たくさんできるから』って言ったんですが、ちょっと不安そうにしていた」
そして息子の死後、母親は目を覆いたくなるような罵詈雑言を、スマホの中に発見することになった。