伊東市長・田久保眞紀氏の学歴詐称疑惑:「除籍」判明後も続く強気の姿勢と市民の視線

静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)を巡る学歴詐称疑惑が、今、大きな社会問題として注目を集めています。東洋大学を「除籍」となっていたにもかかわらず「卒業」と偽っていたとされるこの問題に対し、田久保市長自身は意外な見解を示し、疑惑の渦中においても強気の姿勢を崩していません。

「記憶が定かでない」市長の主張と百条委員会の動き

田久保市長は、議長や市の職員に提示したとされる「卒業証書」について、「いまでも本物だと思っています」と力強く主張しています。しかしながら、「30年以上前の話なので、記憶が定かでない部分があるのも事実です」とも認め、今回の騒動がこれほどまでに深刻化したことについては「不可解に思っており、納得はいっていません」と述べました。

この学歴問題の真相解明のため、市議会調査特別委員会、通称「百条委員会」は7月11日に初会合を開催。市長に対し「18日午後4時まで」に卒業証書を提出するよう「最後通告」を行いました。地元紙記者の解説によると、この疑惑が浮上したのは6月上旬に市議宛てに届いた告発文が発端です。当初、市長はこれを「怪文書」として否定していましたが、7月2日の会見では一転、「大学に確認したところ除籍と判明した」と釈明。しかし同時に、「東洋大卒を自ら公表しておらず、経歴詐称ではない」と強弁し、市民の不信感をさらに強めました。

伊東市長・田久保眞紀氏の学歴詐称疑惑:「除籍」判明後も続く強気の姿勢と市民の視線

学歴詐称疑惑が浮上している静岡県伊東市の田久保眞紀市長の肖像

市長はこれまでに市議会議長らに「卒業証書」を示して疑念の払拭を図りましたが、「チラ見せ」にとどまり、コピーを許さなかったことが逆に不信を招く結果となりました。当初辞職を否定していた市長は、最終的に「真相は司法の判断を仰ぐ」として、検察に卒業証書などを提出した後に辞任する意向を表明しました。しかし、その後の出直し選挙への再出馬の意向も示しており、その強気の姿勢は変わっていません。検察に証拠が渡れば公開の機会が失われる可能性を考慮し、百条委員会は先手を打つ形で証拠提出を求めている状況です。

市民運動から市長へ:予想外の当選背景とプライベート

今回の騒動を複雑な思いで見つめる支援者の一人は、田久保市長が地元で知られるようになった経緯について語りました。彼女の名前が広まったのは、伊豆高原で持ち上がったメガソーラー建設計画への反対運動に献身的に参加したことがきっかけでした。貯金を切り崩して運動に身を投じる姿勢が仲間からの信頼を集め、それが6年前の市議選での初当選につながりました。

しかし、支援者によると、市議選も市長選も彼女自身が立候補を望んだわけではなく、「他に良い候補がいなかったため、消去法で白羽の矢が立った」とのことです。千葉県船橋市出身で、中学3年時に伊東市に移住してきた彼女は、市民運動以外に目立った経歴がなく、2期目の市議選は最下位での辛勝でした。今年5月の市長選でも、多くの関係者が当選は難しいと考えていた中で、自公推薦の現職候補を破る大金星を挙げた背景には、現職市長の不人気に加え、市民の不満を巧みに捉えたキャッチーな公約が大きく影響したと支援者は分析しています。市の新図書館建設の見直しや津波浸水想定区域内へのこども園建設反対など、身近な話題を争点としたことが追い風となりました。

また、今年1月には、彼女の意外なプライベートな一面が垣間見え、話題になったこともあります。公明党が主催した選択的夫婦別姓に関する勉強会で意見を求められた際、彼女は「私は事実婚なので困っていない」と反対の姿勢を示し、周囲を驚かせました。自然派志向のカフェを経営しており、そこでよく見かける男性がパートナーであるとされています。

まとめ:学歴疑惑が提起する問いと今後の展開

伊東市長・田久保眞紀氏の学歴詐称疑惑は、単なる個人問題にとどまらず、公職に就く者の信頼性、情報公開のあり方、そして有権者と政治家の関係性について深く問いかけるものとなっています。市長が疑惑を否定しつつも一部事実を認め、再出馬の意向を示す中で、百条委員会の調査と卒業証書の行方は、今後の市政の信頼を左右する重要な鍵となるでしょう。市民の関心は高く、この問題の推移が伊東市の将来にどのような影響を与えるのか、引き続き注視が必要です。


参考文献