京都市の小学校で、給食調理員が残った食材で教職員にまかない料理を作り提供していたとして1月に懲戒処分(減給)を受けた。調理員は「食材を捨てるのがもったいないと思った」「遅くまで仕事をしている教員に何か作ってあげたかった」などと説明しているという。
【画像】【調理員の懲戒処分、あなたは賛成?反対?】給食の食品ロスはどうすれば減らせるのか、問われる抜本的対策
捨てられる食材ならば、食品ロスを減らす意味でも、それを活用して残業している先生にまかない料理を作るぐらいはいいような……。SNSでも賛否両論さまざまな声があるこの問題、実際はどうなのか、検証した。
食材を事前に取り分け空揚げ調理
懲戒処分を受けたのは、京都市内の小学校に勤務する60歳と57歳の女性給食調理員2人。京都市教育委員会によると、60歳の調理員は22年度から残った給食でまかない調理を始め、57歳の調理員が23年度からこれに加わった。2人は、給食の残りだけでなく、調理前に食材を取り分けたり、自宅から調味料などを持ち込んだりして、おにぎりや唐揚げなどを週に数回作り、教職員数人に提供していたという。
ネットのニュースでは「給食残り食材で教員などにまかない」(NHK・京都NEWS WEB)「『食材廃棄もったいない』給食残りでまかない作り教職員に提供」(産経ニュース)と、給食の残り食材を使ったことが大きくクローズアップされていた。このため筆者は「食品ロスを減らす行為なのに懲戒処分は厳し過ぎる」と思っていたのだが、懲戒処分に至ったのは事前に食材を取り分けたり調味料を持ち込んだりするなどの逸脱行為を問題視したためだろう。
学校給食法第二条にある給食の目標では「適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること」が掲げられている。京都市の小学校の給食費は月額4700円で、給食を食べる児童の保護者と教職員が払っている。1カ月20日とすれば1食当たり235円。食材価格が高騰する中、児童の健康維持のために栄養バランスや量を考えて献立を考えるのは至難の業だが、事前に食材が取り分けられた日の給食は本来児童が食べるはずだった量が減らされたわけで、必要な栄養がとれなかった可能性がある。
また、まかない料理で食中毒が起こった場合、給食で食中毒が起きていなくても、原因調査や感染拡大防止のため給食の調理施設の稼働が停止となる。そうなれば児童への給食の提供ができなくなるだけに、2年以上にわたってまかない料理の提供を受けた教職員の認識不足も否めない。