日本は地震大国。東日本大震災以降、大地変動の時代に入ったと言われるほど、地震や火山噴火の頻発が危惧されています。そんな中で、災害から身を守るために必要なのは「地学」の知識です。京都大学名誉教授 鎌田浩毅氏の著書『大人のための地学の教室』から、京都周辺の断層を例に、防災意識を高めるための地学のエッセンスを分かりやすく解説します。
京都を走る断層と私たちの生活
京都周辺には、花折断層や黄檗断層など、多くの断層が存在します。これらの断層は古くから街道として利用され、私たちの生活に密接に関わってきました。例えば、花折断層は国道367号線(鯖街道)の一部となっています。 鯖街道は、かつて福井県産の鯖を京都へ運ぶ際に利用され、運搬中に鯖に塩が馴染み、京都名物の鯖寿司が生まれたと言われています。
鯖寿司
京都は本当に危険な都市なのか?
多くの断層が走る京都。危険な都市なのでしょうか?答えは「YES」。しかし、それは京都に限ったことではありません。日本全国、どこに住んでいても地震のリスクは存在します。
鎌田教授は、国内で比較すると京都に住むことを推奨しています。花折断層は京都市の真ん中を通っていますが、北側は1662年の寛文近江・若狭地震で動いており、現在は南側が要注意とされています。とはいえ、その危険度は相対的に低いと考えられています。
本当に注意すべき巨大災害とは?
断層の活動時期を予測することは困難です。花折断層や黄檗断層のリスクを比較することも、地質学的には研究されていますが、一般市民にとってはあまり意味がありません。
専門家が警鐘を鳴らす3つの巨大災害
鎌田教授が最も重要視しているのは、南海トラフ巨大地震、首都直下地震、そして富士山噴火です。これらの巨大災害のリスクは、京都周辺の断層と比べて格段に高く、日本国民全員が注意すべきだと警鐘を鳴らしています。防災対策を考える上で、これらの巨大災害への備えを最優先する必要があります。
例えば、食料や水の備蓄、避難経路の確認、家族との連絡方法の確認など、具体的な対策を講じることが重要です。
地学の知識で防災意識を高めよう
地学は、地球の成り立ちや自然現象を理解するための学問です。地学を学ぶことで、地震や火山噴火のメカニズムを理解し、防災意識を高めることができます。
「災害は忘れた頃にやってくる」という言葉があるように、私たちは常に災害への備えを怠らないようにしなければなりません。地学の知識を身につけることで、自然災害に対する理解を深め、適切な行動をとることができるようになります。
具体的な対策例:ハザードマップの活用
自分の住んでいる地域のハザードマップを確認し、地震や津波、土砂災害などのリスクを把握しておくことが大切です。ハザードマップは、自治体のホームページなどで公開されています。
ハザードマップ
鎌田教授の提言する「南海トラフ巨大地震、首都直下地震、富士山噴火への備え」を念頭に置き、日頃から防災意識を高め、適切な行動をとるように心がけましょう。