今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。
原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。
「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」
彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。激動の時代を生き抜くための戦略と覚悟とは。
森永卓郎氏と、息子の康平氏がいまの日本のさまざまな病巣についてガチンコで語り合った『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第10回
『「農家をバカにする」政治家と庶民との隔たり…森永卓郎さんが「日本の馬鹿政治家」に最期の伝えたかったこと』より続く。
贅沢すぎる政治家の暮らし
政治家が現場を知らない理由は、結局彼らが東京に住んでいることから来ている。
地方の選挙区で選出された国会議員でも、普段は東京に住んでいる。赤坂に豪華な議員宿舎があるが、あれはまさに「港区のタワマン」そのもの。しかしながら、入居している政治家たちは月12万円程度の家賃しか払っていないという。そこに住んで、飲み食いするのは銀座や神楽坂の高級店ばかり。
そういう都会ならではの贅沢な生活を送っているので、地方の利益の代弁者どころか、金銭感覚も庶民とはかけ離れてしまっている。
私は以前、ある企業にお願いして、岸田元首相が愛用しているという料亭に連れていってもらった。
お座敷の前に池があって、1メートルもあろうかという錦鯉がたくさん泳いでいた。もちろん料理は着物を着た女将さんが取り分けてくれる。
正直言って、呆れてしまった。こんな贅沢な暮らしをしていたら、庶民が政治に何を求めているかわからなくなって当然だろう。
日本の政治を一手に動かしているのは、こういう人の集まりなのだ。この構造が日本の問題を深刻化させている。