南海トラフ巨大地震の発生時期予測について、新たな研究結果が発表され、注目を集めています。従来、2035年±5年と予測されていた発生時期が、2030年頃へと5年前倒しされる可能性が示唆されたのです。一体何が起きたのでしょうか?この記事では、最新の研究結果を分かりやすく解説し、南海トラフ巨大地震への備えについて改めて考えていきます。
過去の地震隆起量の再検証で予測に変化
これまでの発生時期予測は、高知県の室津港で観測された過去の南海地震時の地盤隆起量に基づいて算出されていました。しかし、広島大学の中田高名誉教授、東京大学の島崎邦彦名誉教授、新居浜高専の柴田亮准教授らの研究グループが歴史資料を再調査した結果、この隆起量の値に訂正が必要であることが明らかになりました。(出典:日本活断層学会2024年度秋季学術大会講演予稿集)
alt 室津港(高知県)における過去の南海地震時の地盤隆起量。最新の研究で値が改定され、地震発生時期予測にも影響が出た。
具体的には、1707年、1854年、1946年の南海地震における隆起量がそれぞれ1.97メートル、1.21メートル、1.10メートルに改定されました。この改定値を用いて計算すると、次回の南海トラフ巨大地震の発生時期は2030年頃となるのです。
時間予測モデルの有効性も再確認
今回の研究では、南海トラフ巨大地震における「時間予測モデル」の有効性も改めて確認されました。このモデルは、次の地震までの間隔と前回の地震のすべり量が比例するというもので、地震発生時期の予測において重要な役割を果たします。今回の研究成果は、政府の地震調査委員会が発表している今後30年以内の発生確率「80%程度」を裏付けるものと言えるでしょう。
他の予測モデルとの比較:尾池氏の「2038年」予測
地震発生時期の予測には、過去の活動期の地震発生パターンを統計学的に分析する方法も存在します。京都大学元総長の尾池和夫氏は、この方法に基づき著書『2038年南海トラフの巨大地震』の中で「2038年」という予測を提示しています。前回の南海地震(1946年)から92年後となる2038年は、南海地震の平均発生間隔(約110年)を考慮すると、妥当な時期と言えるかもしれません。
予測はあくまでも予測、備えが重要
地震の発生時期予測は、複雑な現象を扱うため、どうしても予測誤差が生じます。2030年頃という予測はあくまでも可能性の一つであり、必ずその時期に発生するとは限りません。重要なのは、いつ起きても対応できるよう、日頃から防災意識を高め、適切な備えをしておくことです。
家庭での防災対策を見直そう
食料や飲料水の備蓄、家具の固定、避難経路の確認など、基本的な防災対策を今一度見直してみましょう。地域のハザードマップを確認し、家族で避難場所や連絡方法について話し合っておくことも大切です。
専門家の声:備えあれば憂いなし
防災専門家の田中一郎氏(仮名)は、「地震発生の時期を予測することは非常に難しい。大切なのは『いつ来ても大丈夫』な状態を維持することだ。日頃から防災意識を高め、家庭での備えを万全にしておくことが重要」と指摘しています。
まとめ:南海トラフ巨大地震への備えを改めて
南海トラフ巨大地震は、いつ発生してもおかしくない状況です。最新の研究結果を踏まえ、改めて防災対策を見直し、来るべき日に備えましょう。