オーストラリアとニュージーランド間の国際水域で、中国海軍が実弾演習を実施したことが波紋を広げています。直前の通告だったため、民間航空機が急遽飛行経路を変更する事態となり、オーストラリア政府は中国側に懸念を表明しました。
豪州国防相、中国の直前通告に懸念
マールズ国防相は、中国海軍から実弾演習の通告があったものの、それが直前であったため、民間航空会社が急な対応を迫られたとABCラジオで発言。カンタス航空やニュージーランド航空など、複数の航空会社がオーストラリアとニュージーランド間の飛行経路の変更を余儀なくされました。国際水域とはいえ、両国間の航路におけるこのような軍事演習は極めて異例であり、安全保障上の懸念が高まっています。
オーストラリアとニュージーランド間の飛行経路
アルバニージー首相、演習終了を確認も詳細不明
アルバニージー首相は、演習自体は終了したと発表しましたが、実際に実弾が使用されたかどうかは不明だと述べています。演習海域はオーストラリアの排他的経済水域(EEZ)外であったものの、このような中国の行動は、地域における緊張を高める可能性があると懸念されています。豪州政府は、中国側に演習の意図や詳細な情報を求めています。
豪州外相、G20で中国外相と協議へ
南アフリカで開催中のG20外相会合に出席しているウォン豪外相は、今回の件と通告の透明性について懸念を表明し、王毅外相と直接協議する意向を示しました。国際社会における中国の軍事活動の透明性確保は喫緊の課題であり、今後の両国関係にも影響を与える可能性があります。
中国外務省、国際法順守を主張
一方、中国外務省の郭嘉昆報道官は定例記者会見で、人民解放軍南部戦区司令部が「遠洋での演習と訓練を行うために艦隊を組織した」と説明。関連する国際法と国際慣行に従い、安全基準と専門的なオペレーションを維持したと主張しました。しかし、直前の通告という点で、国際社会からの疑問の声は払拭されていません。
中国海軍の演習
NZ国防相、国民の安全を最優先
ニュージーランドのコリンズ国防相も声明を発表し、国民、船舶、航空機の安全を最優先事項としており、現在ニュージーランドに危険はないと述べています。
地域の緊張高まる懸念
今回の中国海軍の実弾演習は、オーストラリアとニュージーランドだけでなく、周辺国にも緊張をもたらしています。専門家の中には、「中国の海洋進出が加速している兆候」と指摘する声もあり、今後の動向が注目されます。 今後の中国の軍事活動の透明性と、国際社会との協力が、地域の安定維持に不可欠です。