お盆の帰省、新幹線と車どちらがお得? 東京-広島間の交通費を徹底比較

お盆休みに利用する交通手段の選択は、快適な帰省を実現する上で重要なポイントとなります。特に、新幹線での帰省を検討されている場合、繁忙期は特急料金が高騰する可能性があります。一方で、車での移動を比較した場合、一体どの程度の費用差が生じるのでしょうか。この記事では、お盆期間中の家族3人での「東京-広島間」の往復移動を想定し、新幹線と車、それぞれの交通費の差について詳しく調査しました。

お盆期間の東海道・山陽新幹線「のぞみ」の料金体系

近年、東海道・山陽新幹線「のぞみ」号は、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始といった繁忙期において、全席指定席での運行を原則としています。これにより、乗車待ちの行列解消や車内混雑の緩和を図り、スムーズな運行を目指しています。

さらに、JR各社は「シーズン別の指定席特急料金」を設定しており、最も混雑が予想される「最繁忙期」には規定の特急料金に400円が上乗せされます。逆に「閑散期」には200円が割引されることで、繁忙期に集中する乗客の分散を促す狙いがあります。

シーズン区分は「最繁忙期」「繁忙期」「通常期」「閑散期」の4種類に分かれ、例えば2025年のお盆シーズンでは、東海旅客鉄道株式会社によると、8月8日から9日、および16日から17日までが最繁忙期に該当します。この最繁忙期に往復の新幹線切符を購入する場合、家族3人(大人料金、子ども料金なし)では、規定の特急料金に加えて合計2400円の追加出費が発生することになります。乗車券や特急券を全て合わせた金額は、片道で大人1人あたり2万160円、8月8日~8月17日の期間に往復移動すると仮定した場合、家族3人(往復割引適用)の総運賃は11万3820円となります。

お盆の帰省ラッシュ、駅のホームで発車を待つ東海道・山陽新幹線。高額になりがちな新幹線代とお盆の交通費比較の様子お盆の帰省ラッシュ、駅のホームで発車を待つ東海道・山陽新幹線。高額になりがちな新幹線代とお盆の交通費比較の様子

車で帰省した場合の交通費:高速代とガソリン代を試算

では、新幹線ではなく車で移動する場合、ガソリン代や高速道路料金を含めた交通費はどのくらいになるのでしょうか。

まず、高速道路の料金を見てみましょう。東名高速道路の「東京IC」から山陽自動車道の「広島IC」までは、片道で1万6940円、往復では3万3880円がかかります(一般料金の場合)。

次にガソリン代を計算します。燃費性能は車種によって異なりますが、ここでは燃料タンクが60リットルで満タンになる車を想定し、行きと帰りにそれぞれ1回ずつ給油したと仮定して計算を進めます。経済産業省資源エネルギー庁の「石油製品価格調査」によると、7月22日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は1リットルあたり173.6円と発表されています。片道60リットルを想定し、行き帰りでそれぞれ満タン給油したと仮定すると、合計120リットルが必要となり、レギュラーガソリン1リットルあたり173.6円で計算すると、ガソリン代は約2万832円となります。

高速道路料金とガソリン代を合わせると合計で約5万4712円となり、前述の新幹線料金と比較すると、車で帰省した方が費用を大幅に抑えられる可能性が高いという結果になります。

新幹線と車、メリット・デメリットを考慮した帰省手段の選択

車での移動は、高速道路の渋滞による移動時間の増加や、長距離運転による運転手の身体的負担が大きいといった欠点があるものの、コスト面においては新幹線と大きな費用差があることが明らかになりました。JR各社も往復割引の他にも様々なキャンペーンや割引サービスを展開していますが、何よりもコストを重視するのであれば、車での移動も有力な選択肢となるでしょう。

総合的に見ると、費用を最優先するなら車に軍配が上がります。しかし、移動時間や快適性、運転の負担なども考慮すると、一概にどちらが良いとは言い切れません。お盆の帰省の際には、ご自身の家族構成や状況、何を重視するかによって、最適な交通手段を選択することが大切です。

出典

  • 東海旅客鉄道株式会社
  • 経済産業省資源エネルギー庁 石油製品価格調査 調査の結果 1.給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油)