慶応大学大学院教授の岸博幸氏(62)が、この夏の参議院選挙での落選経験について詳細を明かしました。カンテレの番組「ドっとコネクト」に出演した岸氏は、選挙活動で日焼けした姿で登場し、「がん患者ですから…体調ボロボロ」と苦労を語りながらも、出馬に至るまでの経緯や選挙戦で感じた自民党への「逆風」、そして現在の政治状況に対する自身の確信を率直に披露しました。
出馬決断の経緯と「恩返し」の念
岸氏は当初、5月17日の同番組出演時には参院選への出馬について「現状ない」と語っていました。その時点では、体調面も考慮し、出馬しない可能性の方が高かったと釈明しています。しかし、5月下旬に自身が信頼・尊敬する数名と話し合いを重ねる中で説得され、出馬を決意したと語りました。彼は、元々小泉政権、安倍政権、菅政権と長きにわたり自民党に関わってきた経緯があり、特に安倍氏や菅氏への「恩返し」のためにも自民党を立て直すべきだとの思いが強く、これが最終的な決断の決め手となったと説明しました。
カンテレ番組「ドっとコネクト」出演時の岸博幸氏。夏の参院選後に日に焼けた姿を見せた。
選挙戦の「逆風」と自民党への確信
実際に選挙戦に臨んだ岸氏は、「逆風どころじゃない風を感じました」と振り返ります。自身の得票数は目標の半分以下に終わり、「自分の努力不足もありますけど、自民党の逆風の影響が本当に大きいというのを身をもって感じた」と吐露しました。この経験を通して、彼は「外から見てる以上に自民党はだいぶ問題が多すぎてヤバイ」と強く認識したと言います。さらに、「総理を替えるだけで自民党が立ち直るなんてないだろうな」と確信するに至ったと打ち明け、党が直面する根深い課題への警鐘を鳴らしました。
落選後の交流と「満足」の背景
落選後、石井アナウンサーから「岸君、悪かったね、という連絡はあったか」と問われると、岸氏は多くの方々から連絡があったことを明かしました。中には「拾う必要のない渦中の栗を拾わせて…」という言葉もあり、それが嬉しかったと回想しています。彼は、自身の意思で過去の政権にお世話になった立場として、特に菅総理への恩返しになると考えていたため、「一生懸命やれましたから満足はしてますね」と、結果にかかわらず自身の奮闘に納得している様子を示しました。
石破氏との関係についての言及
一方で、石破茂氏からの連絡の有無を問われると、「ないし、しゃべりたいとは思いませんね」とあっさりとした返答。これに対し、八代英輝弁護士は「その人望のなさがねえ…つきまとっちゃう」と苦笑を漏らし、周囲の笑いを誘いました。このやり取りは、政界における人間関係の複雑さの一端を垣間見せるものでした。
結論
岸博幸氏の今回の参院選挑戦は、単なる一候補者の落選というだけでなく、長年にわたり政権中枢に関わってきた人物が直面した現実と、その経験を通じて得た現在の自民党に対する厳しい認識を浮き彫りにしました。彼の「恩返し」という個人的な動機と、選挙戦で肌で感じた「逆風」は、日本の政治が抱える構造的な問題や、国民の党への不信感を象徴していると言えるでしょう。この貴重な証言は、今後の政治の行方を考える上で重要な示唆を与えています。