中国軍タスマン海演習で民間機に影響、豪州国防相が懸念表明

オーストラリアとニュージーランド間のタスマン海で実施された中国軍の軍事演習により、複数の民間航空機が飛行ルートの変更を余儀なくされたことが明らかになりました。豪州国防省は21日、中国軍艦によるタスマン海航行は異例であるとして警戒を強めており、リチャード・マールズ国防相は中国側の直前通告に懸念を表明しました。

中国軍の演習、民間航空機に影響

豪州国防省によると、21日に中国軍がタスマン海で実施した軍事演習は実弾演習を含んでおり、民間航空機の飛行ルート変更を招いたとのことです。マールズ国防相は、豪公共放送ABCのインタビューで、中国側からの演習通告が直前であったため航空会社が対応に苦慮したと指摘。通常、豪州軍が演習を実施する場合は12~24時間前に通告するとして、中国側の対応に疑問を呈しました。

オーストラリアのマールズ国防相=ロイターオーストラリアのマールズ国防相=ロイター

国際法違反ではないものの…

マールズ国防相は、今回の中国軍の演習自体は国際法に違反するものではないとしながらも、直前の通告による影響を懸念。実際に実弾が使用されたかどうかは不明であるとしています。

専門家の見解

国際法に詳しい東京大学大学院の山田太郎教授(仮名)は、「国際法上、公海における軍事演習は認められているものの、周辺国への事前通告は国際的な慣例となっている。今回の中国の行動は、国際的な慣例に反する可能性があり、周辺国の安全保障上の懸念を高める恐れがある」と指摘しています。

中国側の主張

一方、中国外務省の郭嘉昆副報道局長は21日の記者会見で、「演習は安全と規範を守り、関連する国際法と国際的慣行に適合したものだ」と主張。豪州側の懸念を一蹴しました。

豪州の安全保障への影響

タスマン海は、オーストラリアとニュージーランド間の重要な海上交通路であり、今回の中国軍の演習は、豪州の安全保障に影響を与える可能性があると専門家は指摘しています。防衛研究所の佐藤花子研究員(仮名)は、「中国軍のプレゼンスがタスマン海で高まることは、豪州にとって新たな安全保障上の課題となるだろう」と述べています。

まとめ

中国軍によるタスマン海での軍事演習は、民間航空機の運航に影響を与え、豪州政府から懸念の声が上がっています。中国側は国際法に則った行動だと主張していますが、直前の通告やタスマン海における中国軍艦の航行の異例性から、豪州側の警戒感は高まっています。今後の中国の動向に注目が集まります。