石破首相、トランプ大統領との初会談で高評価獲得も課題は山積み?

日米首脳会談、石破首相のデビュー戦は成功だったのでしょうか? スターバックスでの心温まるエピソードを例に日本人の「空気を読む」文化を紹介してきた私ですが、今回の会談は、まさにその真価が問われる場となりました。この記事では、石破首相の外交手腕を専門家の意見を交えながら分析し、今後の課題を探ります。

専門家も絶賛!石破外交の巧みさ

就任式でトランプ大統領が用いた「新たな黄金時代」というフレーズを「日米関係の新たな黄金時代」と見事に言い換えた石破首相。1980年代、アメリカが日本を敵国視していた時代を考えると、この機転の良さは驚くべきものです。多くの専門家は、石破首相とそのチームの入念な準備を成功の要因として挙げています。衝動的なトランプ大統領の心をつかむにはどうすれば良いのか、各国の指導者も注目していることでしょう。

altalt石破氏とトランプ大統領(ロイター通信)

ジャパン・ソサエティー理事長、ジョシュア・ウォーカー氏は、「石破首相はホワイトハウスでホームランを打った」と絶賛。トランプ大統領から「偉大な資質を持つ首相」と称賛されたことで、自民党内での石破氏の立場はより強固になったと分析しています。

「自由で開かれたインド太平洋」へのアメリカのコミットメント継続、防衛費増額要求の回避、貿易不均衡問題への言及回避など、石破首相は設定した目標をほぼ達成しました。特にウォーカー氏が評価したのは、「相互関税」問題を「投資と協力」へと議題を転換させた手腕です。1兆ドルの対米投資公約、アラスカのパイプラインへの参加、ソフトバンクのAI投資など、具体的な提案を示すことで、トランプ政権からの圧力を軽減することに成功しました。

安倍元首相の存在感と石破首相の国内基盤の弱さが影を落とす?

しかしながら、懸念材料も存在します。ある元米政府当局者は、良好な日米関係の雰囲気は、故安倍晋三元首相に対するトランプ大統領の敬意が大きく影響していると指摘。昭恵夫人の尽力により、石破首相が大統領就任後2人目の会談相手になれたことからも、その影響力の大きさが伺えます。

もう一つの懸念は、石破首相の不安定な国内基盤です。防衛費増額による財政逼迫は、政権運営をさらに困難にする可能性があります。世論調査の結果や国内基盤の強さを重視するトランプ大統領にとって、石破首相の支持率の低迷は懸念材料となるでしょう。長期的に良好な関係を築いている外国首脳の多くは、権威主義国家の指導者であることを考えると、石破首相の国内基盤の弱さは、今後の日米関係に影を落とす可能性があります。

今後の日米関係はどうなる?

石破首相は初の日米首脳会談で一定の成果を収めましたが、今後の課題は山積みです。安倍元首相の影響力が薄れ、国内基盤の弱さが露呈した場合、トランプ大統領の態度はどのように変化するのでしょうか? 「空気を読む」だけでは乗り越えられない、厳しい現実が石破首相を待ち受けているのかもしれません。今後の日米関係の動向に注目が集まります。