NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」で、吉原遊郭の女郎、花の井を演じる小芝風花さんが話題を呼んでいます。CMで見せる明るく健康的なイメージとは一変、妖艶な魅力で視聴者を魅了しています。今回は、ドラマを通して描かれる吉原遊郭と、そこで生きる女性たちの姿、そして小芝風花さん演じる瀬川の物語に迫ります。
瀬川という名の看板女郎:吉原の頂点へ
小芝風花さん演じる花の井は、第7回で吉原の老舗遊郭「松葉屋」の看板女郎の証である「瀬川」の名跡を襲名しました。 ドラマでは、蔦屋重三郎(横浜流星さん)が刊行する『吉原細見』の売上を伸ばすため、瀬川を襲名するという設定になっています。史実においても、蔦重版の『吉原細見 籬の花』は革新的な判型やレイアウトで人気を博しました。
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第8回では、鳥山検校(市原隼人さん)という盲目の大富豪が瀬川に目をつけ、ついに身請けをします。 これも史実を基にした展開です。 吉原の頂点に立つ花魁、瀬川。 彼女を待ち受ける運命とは一体どのようなものだったのでしょうか?
苦界十年:吉原に生きる女郎たちの現実
吉原の女郎たちは表向きは「奉公」という形で働いていましたが、実際には貧しい親によって借金の担保として売られていました。「年季証文」によって縛られ、「年季10年」「27歳まで」は吉原で働くことを余儀なくされていました。そのため、吉原は「苦界十年」と呼ばれていたのです。
生活費や様々な出費がかさみ、借金が増えることも少なくありませんでした。 年季が明けても吉原から抜け出せない女郎も多かったのです。 さらに、当時治療法がなかった梅毒などの性病に感染するリスクも高く、過酷な現実が彼女たちを待ち受けていました。 歴史学者、西山松之助氏の著書『くるわ』によれば、浄閑寺の過去帳から、吉原の女郎の平均寿命はわずか22.7歳であったという記録が残されています。
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身請け:吉原からの唯一の脱出路
そんな女郎たちにとって、年季が明ける前、そして病に倒れる前に吉原から抜け出す唯一の方法は「身請け」でした。 客が年季証文を買い取り、身柄を引き受けることで、自由の身となることができました。 瀬川もまた、鳥山検校によって身請けされることで、吉原という檻から解放される道を選びました。
江戸時代の光と影:大河ドラマが描く吉原遊郭
大河ドラマ「べらぼう」は、華やかな吉原遊郭の裏に隠された、女郎たちの過酷な現実を浮き彫りにしています。小芝風花さんの熱演によって、瀬川という一人の女性の生き様を通して、江戸時代の光と影が鮮やかに描き出されています。 今後の展開からも目が離せません。