ロシアによるウクライナ侵攻から3年を迎える2月24日、国連総会でウクライナ情勢に関する特別会合が開催されます。欧州諸国と米国がそれぞれ異なる決議案を提出する見通しで、ウクライナ支援を巡る西側諸国の足並みの乱れが浮き彫りになる可能性があります。
米欧の決議案、何が違う?支援の温度差露呈か
欧州諸国とウクライナが共同で提出する決議案は、ロシア軍の「即時、完全かつ無条件の撤退」を要求し、「年内の戦争終結」を訴える内容です。北朝鮮兵のウクライナ紛争への参加への懸念も盛り込まれており、日本、韓国、カナダを含む50カ国以上が共同提案国となっています。注目すべきは、米国がこの決議案には加わっていない点です。
一方、米国が単独で提出した決議案は、「紛争の迅速な終結」と「ウクライナとロシアの恒久的な平和」を求める簡潔な内容で、ロシアへの直接的な非難は避け、「戦争」ではなく「紛争」と表現しています。
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アメリカの思惑は?ルビオ国務長官の見解
ルビオ米国務長官は21日、この決議案が「平和に向けた弾みをつける機会」になると強調し、全加盟国に賛成を呼びかけました。ロシアのネベンジャ国連大使も米国の決議案を「良い動き」と評価しているとの報道もあります。しかし、ロシアは米国案に「紛争の根本原因への対処」という文言を追加する修正案を提出しており、予断を許さない状況です。
トランプ政権の影?ウクライナへの圧力報道
ワシントン・ポスト紙は22日、トランプ前政権がウクライナに対し、欧州と共同提案した決議案の撤回を求めていたと報じました。ウクライナ側はこれに応じなかったとのことですが、この報道が事実であれば、米国内の政治対立がウクライナ紛争にも影響を及ぼしていることが改めて浮き彫りになります。
過去の国連決議を振り返る:支援疲れの懸念
2023年2月の国連総会では、ロシアのウクライナ侵攻1年に合わせて開催された会合で、ロシア軍の即時撤退などを求める決議が141カ国の賛成で採択されました。しかし、侵攻2年目の節目となる会合では、新たな決議案の提出は見送られました。これは「支援疲れ」を背景に賛成票が減少することを懸念したウクライナの意向が反映されたとされています。
国連決議の行方と国際社会の役割
国連総会決議には法的拘束力はありませんが、国際社会の総意としての政治的重みは大きく、今後のウクライナ情勢に少なからず影響を与えるでしょう。今回の特別会合は、国際社会のウクライナ支援の現状と課題を改めて認識する機会となるはずです。 今後の展開に注目が集まります。
国際政治アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「米欧の温度差は、長期化する紛争解決への道筋の難しさを示している。国際社会が一致団結して平和的解決を目指すことが重要だ」と指摘しています。