読売新聞の独自データ分析によると、ロシアがウクライナ紛争で使用した北朝鮮製ミサイルが急増していることが明らかになりました。両国は昨年6月に「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結し、有事における相互支援を定めていますが、この分析結果は、実戦での軍事協力が深まっている実態を示唆しています。
北朝鮮製ミサイルの使用状況:データが示す驚きの事実
米戦略国際問題研究所(CSIS)の公開データとウクライナ軍の発表資料を基にした読売新聞の分析によると、2022年下半期(7~12月)にロシア軍が発射した北朝鮮製ミサイル「KN23」またはKN23の可能性が高いミサイルは、74発にものぼりました。これは、上半期(1~6月)の8発と比較して9倍以上の増加であり、特に8月と9月はそれぞれ24発と突出しています。北朝鮮製ミサイルがロシア軍のミサイル発射全体に占める割合も、上半期の0.7%から下半期には6.7%へと大幅に拡大しました。
北朝鮮のミサイル発射の様子
専門家の見解:軍事技術協力の公式化が本格使用を後押し
防衛省防衛研究所の兵頭慎治研究幹事は、この状況について、「露朝の軍事技術協力が公式化されたことで、ロシア側は北朝鮮製ミサイルの本格使用に踏み切った可能性が高い。今後も北朝鮮への依存を強めるだろう」と分析しています。
事実上の軍事同盟:条約発効で協力関係が新たな段階へ
露朝間の条約は昨年12月に発効し、事実上の軍事同盟へと発展しました。ロイター通信は、ウクライナ軍関係者の話として、昨年12月から高性能化した北朝鮮製ミサイルの使用が開始されたと報じています。さらに、ウクライナ国防省は、北朝鮮が年内に150発のKN23をロシアに提供するとの見通しを示しています。
KN23とは?:迎撃困難な短距離弾道ミサイル
KN23は、射程約900kmの短距離弾道ミサイルです。低空を変則的な軌道で飛行するため、迎撃が難しいとされています。ロシアの短距離弾道ミサイル「イスカンデル」をベースに開発されたとみられています。
ウクライナ紛争の行方:露朝協力の深化が及ぼす影響
ロシアによる北朝鮮製ミサイルの使用急増は、ウクライナ紛争の今後の行方に大きな影響を与える可能性があります。両国の軍事協力の深化は、国際社会の安全保障にも懸念をもたらしており、今後の動向が注目されます。