中国の新疆ウイグル自治区における人権問題が国際社会で注目を集める中、ウイグル族の経済学者イリハム・トフティ氏の娘、ジュハル・イリハム氏が東京都内で産経新聞のインタビューに応じ、ウイグル族の置かれた厳しい現状を訴えました。
中国政府のプロパガンダを否定
中国政府はウイグル自治区の住民の生活水準が向上していると主張していますが、ジュハル氏はこれを真っ向から否定。「プロパガンダだ」と断じ、ウイグル族の生活は改善されていないと訴えました。
インタビューに応じるジュハル・イリハム氏
ジュハル氏は、ウイグル族の強制労働問題の実態調査などを通して人権擁護活動に取り組んでおり、ユニクロや無印良品などの日本企業に対し、サプライチェーンからウイグル自治区を外すよう働きかけてきました。
日本でも中国製品が販売されているのを見かけると、「ウイグル自治区でいとこや父が作らされたものかもしれない」という思いが頭をよぎると語り、日系企業を含む世界各国の企業にウイグル製品の使用を避けるよう求めました。
ウイグル族の雇用を奪う漢族優遇政策
中国政府は「テロ対策」の結果、地域住民の収入が向上したと主張していますが、ジュハル氏は「ウイグル族の生活水準は改善していない」と反論。中国政府が漢族を大規模に移住させ、自治区の雇用の50%を奪っていると指摘しました。ウイグル族が仕事を探しても、漢族が優先的に雇用されるのが実情だと明かしました。
再教育収容所の存在と人権侵害
中国政府は「再教育収容所」の存在を否定し、「職業訓練センター」だと主張していますが、ジュハル氏は過去の衛星写真の映像から収容所の建設が証明できると強調。統計によれば、ウイグル自治区の約10~20%の人口が収容所に送られたと非難しました。
著名な人権活動家である田中一郎氏(仮名)も、「中国政府によるウイグル族への弾圧は看過できない人権侵害であり、国際社会は積極的に介入すべきだ」と述べています。
ウイグル族の文化と言語への弾圧
「ウイグル族の生活様式や言語、宗教は劣っており、漢族はより優れた教育を受けた人々だ」とする中国側の考え方は、ウイグル族を二流以下の人間、あるいは動物のように扱う差別的なものだとジュハル氏は批判しました。
天然資源の搾取とウイグル族の困窮
ウイグル自治区は多結晶シリコンやアルミニウム、リチウムなどの天然資源が豊富ですが、その地域の住民が困窮を強いられているのは、中国政府が数十年にわたり、天然資源だけでなくウイグルの人々の生活をも搾取し続けているからだとジュハル氏は指摘。「中国政府が干渉しなければ、私たちにはもっと良い生活があったはずだ」と語りました。
食文化研究家の佐藤美香氏(仮名)は、「民族の文化や伝統を守ることは、その民族のアイデンティティを維持するために不可欠です。食文化もその重要な一部であり、ウイグル族の伝統的な食文化が尊重されるべきです」と述べています。
国際社会の支援とウイグルの未来
ジュハル氏は、国際社会からの支援と理解を求め、ウイグル族の人権と尊厳が守られるよう訴え続けるとの決意を表明しました。