兵庫県議会の2月定例会で25日、各会派の代表質問が行われた。斎藤元彦知事の疑惑告発文書問題に絡み、各会派は交流サイト(SNS)上での誹謗(ひぼう)中傷や、元総務部長らによる情報漏洩(ろうえい)疑惑を念頭に「分断による混乱状態が続いている」と指摘。収束に向け「リーダーシップを発揮してほしい」との声が上がったが、斎藤氏は従来の見解や一般論を繰り返す答弁に終始した。
問題を巡っては、斎藤氏が再選した昨年11月の知事選で、斎藤氏の疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員らに対する誹謗中傷がSNS上で過熱。県は来年度中に誹謗中傷を抑制する条例の制定を目指している。
この日の代表質問で、公明党の越田浩矢幹事長は県政に関連するSNS上の誹謗中傷について「感情的な対立が先鋭化し、分断による混乱状態が続いている」と指摘。百条委委員や県職員らへの中傷が収まらない状況を踏まえ「知事の言葉で融和に向け『こうしましょう』とリーダーシップを発揮して発言いただくことが非常に大事だ」と問いただした。
これに対し、斎藤氏の答弁は「SNS上での誹謗中傷や真偽不明の情報の拡散は決して許されるものではない」と一般論に終始。ネット上で、斎藤氏への批判と擁護の意見が二分している現状については「文書問題の対応が大事な一方で、政策を前に進めてほしいとの声があるのも事実だ」と述べ、静観する意向を示した。
告発文書を作成した元県幹部の私的情報を元総務部長が漏洩した疑惑や、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が元県幹部のパソコンに保存されていたとされるデータなどをSNS上に投稿した問題について、県の対応を問題視する声も上がった。県はそれぞれについて第三者委員会を設置したが、メンバーや結果の公表方法などは明らかにしていない。
立憲民主党の議員らによる「ひょうご県民連合」の上野英一幹事長は「情報漏洩は深刻な問題であり、県への信頼を失った県民も被害者である。なぜ速やかに刑事告訴しないのか」と追及。
これに対し斎藤氏は「事実関係をしっかり検討する必要があり、現在調査を進めている。今後の対応については調査結果を踏まえて検討する」とかわした。服部洋平副知事は2つの第三者委の構成人数や費用について説明したが、証拠隠滅などの恐れがあるとして詳細の説明はしなかった。