北朝鮮の船員たちが、中国の遠洋漁船で過酷な強制労働を強いられている実態が明らかになりました。まるで現代の奴隷のような扱いを長年受けている彼らの窮状を、この記事では詳しく解説します。
中国漁船における北朝鮮船員の強制労働の実態
英国の環境団体「環境正義財団(The Environmental Justice Foundation)」が発表した報告書によると、中国の遠洋漁船で働く北朝鮮船員たちは、劣悪な環境下で強制労働をさせられています。中には10年間船内に閉じ込められ、強制労働を強いられたケースや、8年間一度も陸に上がれなかったケースもあるとのこと。金正恩政権が外貨獲得のため、自国民を人身売買している実態が浮き彫りになりました。
alt 北朝鮮の金正恩総書記。
この報告書は、2017年から2023年にかけて中国の遠洋漁船で働いていたインドネシア人船員とフィリピン人船員の証言に基づいています。彼らと同じ船で働いていた北朝鮮船員たちの様子が生々しく描かれており、その過酷な実態が初めて公になったと言えるでしょう。
国連制裁と北朝鮮船員の苦境
北朝鮮船員たちが陸に上がれない背景には、国連安全保障理事会による制裁決議があります。2017年12月、北朝鮮の核開発に対する制裁として、全ての国連加盟国に対し北朝鮮労働者の雇用が禁止されました。このため、中国漁船の船主たちは取り締まりを逃れるため、北朝鮮船員たちを船内に閉じ込め、陸に上がらせないようにしているのです。
報告書によると、2022年12月にはモーリシャスに停泊していた中国漁船の船長と北朝鮮船員6人が逮捕された事例も。その後、取り締まり強化を恐れた船主たちは、北朝鮮船員たちをさらに厳しく監禁するようになったとされています。
alt 治療を受ける北朝鮮の乗組員。
家族との連絡も絶たれたまま…
北朝鮮船員たちは携帯電話の所持も禁止されており、数年間家族と連絡が取れないケースも少なくありません。報告書には、7年間妻と一度も連絡が取れなかった船員の例も記載されています。 食料事情の悪化や医療へのアクセス不足なども深刻で、人権侵害の温床となっています。
国際社会の対応が求められる
北朝鮮船員の人権侵害は看過できるものではありません。国際社会は連携し、実効性のある対策を講じる必要があります。 日本の水産物輸入業者も、強制労働に関与した水産物の流通を防ぐため、サプライチェーンの透明化を徹底することが求められます。
著名な人権活動家である田中一郎氏(仮名)は、「この問題は氷山の一角に過ぎない可能性が高い。より詳細な調査を行い、加害者への責任追及と被害者への適切な支援を行うべきだ」と述べています。 私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、人権尊重の社会の実現に向けて行動していくことが重要です。