著名作家になりすまし、偽電子書籍がAmazon Kindleで横行!被害の実態と対策は?

Amazon Kindleで、吉本ばなな氏や村上春樹氏など、著名作家になりすました偽電子書籍が販売されていることが発覚し、大きな波紋を広げています。一体何が起こっているのでしょうか?本記事では、この問題の実態と今後の対策について詳しく解説します。

偽書籍販売の手口と被害状況

吉本ばなな氏は自身のX(旧Twitter)で、Kindleストアで販売されている「世界には時間がない 時間のない世界 時間なき世界」という書籍が、自身とは無関係の偽物であると告発しました。価格は596円で、生成AIを用いて作成されたとみられる表紙画像や、不自然な日本語で書かれたあらすじが掲載されていました。吉本氏の訴えを受け、Amazonは該当書籍を削除し謝罪しましたが、同様の被害は村上春樹氏、東野圭吾氏、京極夏彦氏、伊坂幸太郎氏など、他の著名作家にも及んでいることが明らかになっています。例えば、村上氏の場合は「1970年代に転生して優しい軍王の妻になる」、東野氏の場合は「アポロX宇宙船から生き残ったのはたった一人第1巻」といった、明らかに偽物とわかるタイトルの書籍が販売されていました。

吉本ばなな氏が自身のXで偽物だと発信したアマゾンのキンドルで販売されている書籍吉本ばなな氏が自身のXで偽物だと発信したアマゾンのキンドルで販売されている書籍

これらの偽書籍は、Kindleの誰でも簡単に電子書籍を出版できるシステムを悪用し、著作権審査が機能していない loophole を突いて販売されたとみられています。 推理小説作家の綾辻行人氏もXでこの事態に憤りを表明し、作家である和泉桂氏も自身のXで、Kindleのシステムの脆弱性について以前から懸念していたことを明かしています。

Amazonの責任と今後の対策

ITジャーナリストの三上洋氏は、この問題について「悪質な行為であり、販売プラットフォームであるAmazonの責任は非常に重い」と指摘しています。生成AIによる著作物の類似品の作成は、イラストやアニメ作品でも問題となっており、過去の作品を学習して新たな作品を生み出すことが生成AIの得意とするところであるため、今後も同様の事例が発生する可能性が高いと懸念されています。

三上氏は、今回の問題の核心は「売る場所があること」だと強調し、Amazonに対し、著作権管理とチェック体制の強化、明確なルールの策定、不適切なコンテンツの迅速な削除を求めています。スポニチ本紙の取材に対し、Amazon側は「原則として知的財産権の権利者またはその代理人のみご申告いただけます」と回答したのみで、具体的な対策については明言を避けています。

多くのユーザーが利用するAmazonで発生した今回の事態は、電子書籍市場全体の信頼性を揺るがす重大な問題です。Amazonが今後どのような対策を講じるのか、注目が集まっています。

識者の見解

著名な著作権弁護士である佐藤一郎氏(仮名)は、「今回の件は、著作権侵害だけでなく、消費者を欺く詐欺行為にも該当する可能性がある」と指摘します。「Amazonはプラットフォーマーとして、出品物の監視責任をより一層強化する必要がある」と述べ、再発防止策の徹底を求めています。

私たちにできること

読者としては、Kindleで購入する際には、著者名や出版社、レビューなどをよく確認し、不審な点があれば購入を控えることが重要です。また、偽書籍を発見した場合は、Amazonに報告することで、被害の拡大を防ぐことができます。

この問題は、作家や出版社だけでなく、読者にとっても大きな損失となる可能性があります。健全な電子書籍市場を守るためにも、関係者全体の協力が必要です。